2010年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  浅見 祥子

【特別賞】銀色の鱗

「わあっ」

一瞬僕は、息をのむ

あの銀色に輝く二匹の魚はなんだ

あわてて僕は銛を構えた

はちきれそうになる胸の鼓動をおさえ、冷静になる

息をひそませ魚に近づく

海の中は静寂に包まれていた

シュノーケルの音だけしか聞こえない

魚は僕を挑発しているかのように、優雅に泳いで行く

精一杯放った銛が、水中を切り裂く

「よしっ」

という手応えと共に銛が魚に当たった

しかし魚は、勝ち誇ったかのように僕の目の前から遠ざかっていく 銛の先に残っていたのは、銀色に輝く大きくて硬い一枚の鱗だけだった

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