2004年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  原田 維夫

【準ざぶん大賞】命の水

ある日の新聞広告で、「水を飲めずに死ぬ人がいる。水を飲んで死ぬ人もいる」という活

字を見た時〝ドキッ〞としました。

発展途上国では、同じ川で食品を洗い、隣りで洗濯をして用も足すという光景をテレビで

見たことがあります。また、水を求めて往復数キロもの水くみは、女性や子供達の辛い労働

になっていて、そのために学校へも行けない子供達が多くいるそうです。そして、病気の八

割が汚れた水が原因とされ、八秒に一人、子供達の命が失われているというのです。

私は、名水百選に入る〝水の都〞とうたわれた町に生まれ育ち、水の苦労を知らずに生活し

ています。

我が町は、うちぬきのおいしい水が市内のいたるところからわき出ているので、地下の水

源は無限だとさえ思っていました。外国では水道水は飲めず、レストランではビールやジュー

スと同じように水を飲むにもお金を払うと聞いたことがあったので、「ただ、おいしくない

んだ」ぐらいにしか考えていなかったのです。世界中で十二億人の人達が安全な水を確保で

きていない事実を知り恐ろしくなりました。

総業七十七年、曽祖父の代からラムネ・アイスクリーム・うどんと水にかかわる商売を続け

てこれたのも我が国の豊かな水源のたまものだったようです。七十四歳になる祖母は毎日

 

仕事のあい間にホースに口をつけて、 「ああ、おいしい。日本一の水じゃあ」

といって飲んでいます。おいしいうどんを作れるのも水のおかげですが、今では製造に使っ

て流す水の量により下水道使用料を支払うようになっています。

私は以前、「命の水よごさないで使おう」というテーマで自由研究をしたことがあります。

魚が住める水質にするためには、使用ずみの天ぷら油五〇〇ミリリットルで、おけ一杯三〇

〇リットルが三三〇杯もいることがわかりました。洗濯、風呂、台所、トイレで一日に一人が

使う水の量が二九三リットルです。汚れた水をそのまま川に流し続けたら、生き物の住めな

い川や海になることはまちがいないのです。

二十一世紀は「水紛争の時代」と言われています。水に恵まれた国に生まれたからといって、

もうあぐらをかいているわけにはいけません。

水は世界の多くの地で生きるか死ぬかの問題なのです。

これからは、コップ一杯の水を飲む時、考えさせられることは大きいけれど、世界の危機

を私達一人ひとりの問題として受けとめて水を大切に使うことで協力していきたいと思い

ます。

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