2007年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  北村 紗希

【奨励賞】お小夜伝説

私の住む地域には、「琴ヶ浜」という浜があります。この浜は、はだしで砂を踏むと鳴くような音がす

るので、地元では「鳴き砂の浜」とも呼ばれています。

この浜には、伝説があります。昔、お小夜という娘と重蔵という男がいました。二人は恋に落ちまし

た。しかし、漁師だった重蔵は漁に出たまま帰って来ることはありませんでした。お小夜は泣きながら、毎日「鳴き砂の浜」で重蔵の帰りを待ちましたが、お小夜も亡くなってしまいました。だから、砂を踏むと鳴る音は、お小夜の泣き声なのだ。という伝説です。

鳴き砂は全国的にも珍しく貴重だと聞きました。しかし、この「鳴き砂の浜」がだんだん鳴かなくなっ

てきているのです。原因は、水が汚れてしまい、浜が汚くなったこと、ゴミが浜に捨てられて砂が汚れたことです。私の地域には大規模な工場などはありませんが、昔より海は汚れているそうです。

私は、砂が鳴くのはお小夜の泣き声と同時に地球や海の悲鳴だと思わずにはいられません。豊かな生

活にばかり目がいきすぎて、田舎の自然や伝統・伝説を忘れてしまっているのではないでしょうか。私達は、平気で水を汚し、海を汚し、浜を汚しています。細かいことでも確実に砂は鳴かなくなってきています。私達は、今こそ鳴き砂の悲鳴に耳を傾ける時だと思います。 昔のように波の音を聴きながら、お小夜が重蔵の帰りを待てるように。

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