2007年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  百鬼丸

【準ざぶん大賞】イモリと出会って学んだ事

五月。連休に、十日町市に住む祖父母宅へ遊びに行った。夕方、散歩しながら田をのぞ

くと、ブヨブヨとした泡がくっついたようなものがあちこちで見られる。これは、クロサン

ショウウオの卵だ。さらに、田のあぜ道を歩いていると、スーっと動く小さな影を発見。急

いで網を入れ、すくってみると、それは一匹のイモリだった。

その日から、オレンジ色のおなかをしたかわいいアカハライモリは、松之山で捕まえた他

の三匹のイモリと共に、我が家の一員となった。

オス一匹、メス三匹の私のイモリは、十九日、卵を産んだ。一つ一つ水草に産み付けられ

ていた。卵は、透明なまくに包まれ、茶色と白が半分に分かれた模様だった。

六月四日。卵が二つかえった。エラのある丸い顔に、大きな目が付いていた。尾は細く、

バランスの悪い体だった。生まれてから三ヶ月ぐらいは水中で生活する。魚のようにエラで

呼吸する。生まれたばかりの幼生は、水槽の底でじっとしていた。一週間ぐらいは、エサを

食べないらしい。一週間後、冷凍アカムシを少しあげてみた。ピュッ、とすばやくアカムシ

に飛び付いた。小さい口から太いアカムシがのびていた。なかなか全部口に入らず、出した

り入れたりしていて、すごくかわいかった。

七月。イモリの成体が脱皮しているのを発見。手と足をおばけのようにさせ、すごく大き

なあくびをしていた。具合が悪いのかな、と思ったら、あごの皮がむけ、スルスルと尾まで

むけた。体をくねらせ、尾にくっついている皮を食べ始めた。他のイモリが寄って来て取り

合いをしていた。

八月。お盆に祖父母の家へ行った。幼生もたくさんエサを食べ、だいぶ大きくなっていた。

幼生は大きくなると陸に上がり、大人になるまで陸で生活する。私のイモリは二匹上陸した。

上陸したのを幼体と呼び、しめった場所で暮らす。私は、スポンジを水でしめらせ、かくれ

る場所を作ってあげた。

そのイモリを見ながら、祖父が言った。

「今は、イモリとかカエルを田んぼで見かけることができるけど、昔、強力な農薬を作って

いた時期があって、田んぼに生き物が全然いなくなったんだよ」

生き物にとって、大変な時代があったんだな、と思い、私は残念な気持ちになった。

しかし、祖父の田には、今たくさんの生き物が住んでいる。さらに、以前は汚れていた川

に、メダカやホタルが戻ってきたというニュースも耳にする。昔を見直し、少しずつ努力し

ている事が分かり、すごくうれしかった。

イモリの世話を通して、命の大切さや生き物を取り巻く環境について学んだ四ヵ月だった。

私たちにできること、私たちがしなければならないことは何だろう。これからもイモリを大

切に育てながら考え続けていきたい。

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