【ざぶん環境賞】硬い水、軟らかい水
「夢子、水には硬い水と軟らかい水があるのを知ってるかい?」
学校の先生が突然、こんな言葉を投げかけてきた。この先生は時折、変なことを言う。
「硬い水って氷のことでしょ」と答えると、「ハハハ……、それが違うんだな。調べてみてご
らん」そう言って、その先生は私の前から立ち去った。
宿題でも何でもないのに、先生に言われた硬い水のことがどうしても気になって、私は
「水の硬度」について調べはじめた。今思うと、先生の策略にまんまとはまってしまったのか
もしれない。
水の硬度は、それに含まれるカルシウムとマグネシウムの合計量で決まるらしい。一リッ
トル中、ミネラルの主成分であるカルシウムとマグネシウムの総量がミリグラム(硬
度)以下を軟水と呼び、ミリグラム(硬度)以上を硬水と呼ぶのだそう
だ。また、最近は輸入のミネラルウォーターが増え、さまざまな硬度の水が販売されるよう
になったので、硬度〜程度のものを「中硬水」と呼び、以上を「硬水」
と呼ぶのが主流になってきている。いずれにせよ、カルシウムとマグネシウムがたくさん
入っている水が硬水、少ない水が軟水ということだ。一般的に硬水は、口に含むと引き締まった味がする。冷蔵庫で冷やせば、味のクリスタル
感は一層強調され、よりおいしく感じると言われている。スポーツ後のミネラル補給や妊産
婦のカルシウム補給、そして便秘解消やダイエットに役立つそうだ。
一方、軟水は口の中で優しく広がる。香りや風味を大切にする日本茶や紅茶などをいれ
たりするのに適している。日本の飲料メーカーが売り出している「のおいしい水」とか
「の天然水」といったたぐいのものは、この軟水に含まれる。
先生が言ったように、確かに水には硬度があり、カルシウムやマグネシウムといった成分の
比重が異なる。当然、味もちがう。このちがいを心得た上で、用途を賢く使い分けると随分と
面白い。たかが水、されど水である。身近にある水について、案外知らないことがわかった。
「ところで、先生は硬い水と軟らかい水のちがいについて、ご存じだったのですか?」
「いいや、よくは知らなかった。でも、夢子が調べてこうしてレポートにまとめてくれたの
で、それを読んで先生も賢くなれたよ。ありがとう」
そう言って、先生は私の肩をポンポンと軽くたたき、私の前からそそくさと立ち去った。
いったいこの先生は、どんな性格をしているのだろう。硬いのか、はたまた軟らかいのか、
よくわからない。でも、水のようなしなやかさがあるのは確かみたいね、先生!


