2012年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  森永 江美

【特別賞】紙コップにあふれる水

「あーおいしい」

 

私は水が好きだ。お茶よりも好きだ。特に夏場に飲む水が好き。私はバドミントン部で部活をしてい

て汗をたくさんかく。のどもカラカラになり、飲み物が欲しくなる。家には冷蔵庫でキンキンに冷えた水があり、その水が私ののどをうるおす。

 

水はおいしいと気づいたのは、小学校一年生の時。運動会が行われていた。その日はものすごく暑く、

みんな汗ビッショリだった。準備運動から始まり五〇メートル走、玉入れ、大玉ころがし、台風の目、ダンス。たくさんの種目に参加し、のどがかわき、お腹がすいたころ、昼食タイムになった。

 

母と祖父と祖母が見に来ていて、私が三人を見つけるころには、もうブルーシートがしいてあった。母

がお重をあけ、祖母がデザートのみかんを取り出している。その横で祖父は、クーラーボックスから水を取り出し、紙コップにあふれるほど水を入れ、私に

「のどかわいたやろ。家で冷やして来てるから冷たくておいしいで」

と言い、私にその水をくれた。のどがかわいていた私は、それを一気にグイッと飲み干し

「おいしい」

と言ったすぐ後に

「おかわり」

と祖父に手を出すと、三人とも笑いながら 「好きなだけどうぞ」

と私におかわりをくれた。あの時のあの水のおいしさは、今でも鮮明に覚えている。それほどおいしかったのだ。

 

朝。ご飯とみそ汁、それから魚とたくあん。そして水。どこの家庭でも見られる、ごくごく普通の朝ご

飯。魚を食べ、みそ汁とご飯を、口へガーっとかけこんだあと、たくあんをポリポリ食べる。そして水をグーっと飲み干す。これが十四年間続く、我が家の朝ごはん。普通に普通の朝ご飯。だけど私に最高のコンディションを与えてくれる。そのうち水は七割位。朝飲む水は最高だ。私は水が大好きだ。

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