【特別賞】田舎の思い出
私の祖父の実家が、池田町にあります。そこは、洪水にあったところです。今でもその家は、洪水に
あったままの状態で、洪水の激しさがよく伝わってきます。
小さい時から、その家によく遊びにいっていたので、洪水にあったと聞いた時は、とても悲しくなりま
した。そこに住んでいたひいばあちゃんは、家の二階で寝ていたのでなんともありませんでしたが、ずっと住んでいた家がどろでグチャグチャになって、悲しく、くやしかったと思います。
その家に掃除しにいった祖父は、
「もう全部流されてしまったよ。家の中は、仏壇くらいしかのこっていなかった」
と、悲しそうに言いました。私はその時、とても身近で、なくてはならない水がこわいと初めて思いま
した。
休みに入った私は、父と姉といっしょに池田に行きました。その家を見た時、私は唖然としました。祖
父が言っていたとおり家の中には何もなく、壁は私の身長と同じ高さまで、どろで汚れていました。も
し、ひいばあちゃんが一階にいた時に洪水におそわれていたら、と想像しただけでぞっとしました。私はもっと水がこわくなりました。
すると、父が、
「おーい。家の中に公孫樹いちょうの芽が生えてるぞ」
と、呼びにきました。「公孫樹の芽?」と思った私は、すぐ走って行きました。そうしたら、本当に家
の中に芽が生えていました。
「洪水で流された時に流れてきたんだろう」
と、父が言ったので、私は水は物を流すだけではなく、命も運んでくるのだと思いました。洪水で家
が流されて水がこわいと思っていたのに、たった一つの公孫樹の芽を見ただけで、その感情がどこかにとんでいきました。
その日から何年かたち、家の方もおちつき、公孫樹の芽は大きくなり、今は一メートルくらいになって
います。その生長を見るのが、毎年の楽しみになっています。
あの激しい洪水から、私はとても大事なことを学んだと思います。これからも、水や命を大切にして
いこうと思います。
【特別賞】ホタル


