【特別賞】蛍の教え
蛍を見に行った。小学三年生のころ、母に誘われ、近くのきれいな川へ行った。
「きれいやのお」 「うん、きれいや」
ずっと同じ会話ばかりをしていた。ほんとうにきれいだったから、こうとしか言えなかったのかもしれ
ない。
星みたいに輝くたくさんの小さな光、そしてそれがとびまわるのを見ていると、わくわくした。まっ暗
な中でも、川の流れる音はしていて、ところどころに草のような影も見えた。
かけよって近くで見たら、細い草の上で静かにチカチカ光っていて、その美しさに私の目はうばわれた。 その後も、何回かその川に一人でも行って眺めた。
蛍は変わらずに光り続けて、まるでみんなで、川を遊び場にして大勢で遊んでいるように見えた。 あるときぱったりと蛍を見に行かなくなり、数年がたってしまった。
特に何かを考えたわけではないが、
「そうだ、蛍を見に行こう」
という突然の思いつきで、私はいつかの川へ出かけた。 「…えっ?」
目を疑った。そこで私が見た風景は、蛍が一ぴき、二ひきいるかいないかくらいの、さみしいまっ暗な川だった。
こんなの、何年か前に来たときの面影がまったくないではないか。
私は残念とか悲しいとかの気持ちがいろいろまざってしまい、目線が常に地面の方へ向きながら、帰り
道をとぼとぼ歩いた。
まだ少し、その川が見えるところでちょっとだけ立ち止まって見てみると、たった一ぴきだけ光るのが
見えた。
私はその蛍が、砂場で一人で遊んでいる子供のように感じた。
蛍は、きれいな水や草などに恵まれた、自然が豊かな環境でのみ見ることができるらしい。そう考える
と、あの川は、年がたつにつれて、どんどん汚染されているのかもしれない。
水質汚染の原因の六十パーセントは、家庭から出ている生活排水で、洗濯や炊事などの、毎日生活で
出しているものが悪い環境へと進めている。
それを止めるためには、自分たちひとりひとりが、環境について意識をしなければいけないと思う。例
えば、合成洗剤を使用しないようにしたり、料理に使用した油は排水溝に流さずに、食用油リサイクル に出すということをみんなでしていくと、何か大きな変化が起こるのではないだろうか。
六月に、ほとんどの川が光り始めるという現象が、何年かたったら起きてほしいと私は願っている。


