2011年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  原田 維夫

【準ざぶん大賞】やな

 

夏休み中に、茂木のやなに行きました。以前、秋に遊びに行ったことがありましたが寒く

て川に入れなかったので、次は夏に行きたいと思っていました。やなは、川の魚をとるため のしかけです。川の中に、傾斜をつけて竹を並べてしいておくと、川を下ってきた魚は水の 流れと一緒にやなのしかけに入ってきます。水や小さな魚は竹のすき間から逃げることがで きますが、あゆなどの大きな魚は、竹のしかけの上に打ち上げられるので、大きな魚だけを つかまえることができるしくみです。

 

しかけに近付くと、川の流れるゴウゴウという大きな音が聞こえてきました。しかけの上

にはたくさんの人が乗っていて、上を歩くとギシギシ音がなるのでこわれないのかなと心配 になりました。竹のすき間からは川が流れている様子が見えて、足の下をものすごい勢いで 川が流れていると思うと、落ちないと分かっていても足がすくみました。

 

やなの斜面は海の波打ち際のようになっていました。海とちがうのは、波がひくことなく

ずっとしぶきを上げて打ち寄せていることです。少しずつ水しぶきの中に入ると、水の勢い は見た目よりかなり強くとても気持ち良かったです。私はどこまで進めるか、波打ち際から 深い方へ歩いてみました。川の流れがとても速くて、ひざの深さまでが限界でした。両足に 川の水がまきつき、ひざから水がまき上がって上半身までしぶきがとんできました。

 

川の水は一定に流れているのではないように思えて、川の流れでずっと遊んでいてもあき

ませんでした。浅い方に歩いて行き、しかけにかかった魚をつかみ取りしました。魚は手の 中でピチピチはねて必死で逃げようとしていて、その姿がとてもかわいかったです。「魚も一 生けん命生きているんだなぁ」と思いました。小さな魚は、かわいそうなのでしかけの外に 逃がしました。

 

川で遊んだ後、ろばたであゆを焼いて食べました。焼けるのを待つ間、火の粉がとんでき

て、顔がとても熱かったです。だんだん焼けてくると、あゆの目が白くなってきて、何だか かわいそうになってきました。私につかまらなければこうして食べられることもなかったの かなと思うと、心が痛みましたが、命をむだにしてはいけないと思い、ありがたくいただき ました。あゆはほど良い塩味で、身がきめ細かく、香ばしくてとてもおいしかったです。

 

私はやなに行って、川は時にはおそろしいものに変化することもあるけれど、私たち人間

やその他の生き物にも欠かすことのできない恵みをあたえてくれているのだと思いました。 途絶えることなく流れている川の豊かな水のもとをたどると、雨の水だということに気が付 きました。雨の水が山の木や土にしみこむことで水が一度に流れず、適度な量と速さで流れ ていくことができ、洪水にならずにすみます。山からしみ出したわき水の流れが川のもとと なっているのです。

「木は緑のダムのはたらきをしている」という話も聞いたことがあります。

 

自然というのは、一つ一つ独立しているわけではなく、全てつながっているのだと思いまし

た。 

川の豊かな恵みを手にするためには、川を汚さないということはもちろん、森林の無計画

な伐採を防いだり、酸性雨を降らせないように、大気汚染を防いだり、美しい海の環境を守っ たりすることも必要なのだと思います。また、私は自然の姿をそのまま生かす日本人の知恵 に感心しました。川を汚染することなく、食べるために適した大きさの魚を、ほんの一部分 けてもらう、やなのしかけはすばらしいと思います。たくさんのことを教えてくれたやなに、また遊びに行きたいと思います。

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