2013年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  寺谷 亜沙未

【特別賞】ぼくと浅野川

ぼくが金沢に引越してきたのは一才半の時だった。金沢へ来て初めて散歩したところが卯辰山と浅野

川だったらしい。ぼくは全くおぼえていないけど、その時は姉と川べりにいたハトを追いかけて喜んでいたそうだ。それからは浅野川はぼくにとって、とてもなじみの深い場所になっていった。そして、浅野川が季節を教えてくれる場所にもなっていると思う。

春、まだ肌寒い中でも桜が満開。雪がとけて流れてくる川の水はとても冷たいけれど、春の太陽が川

の水をキラキラ光らせている。

夏、卯辰山から聞こえてくるセミの声がミンミンとうるさい。裸足で歩く石の上はとびあがるほど熱

いけれど、川の水は気持ちいい。石切をしたりもした。

秋、梅の橋から写真を撮っている観光客が多い。ぼくはまだやったことがないけど、彼岸に浅野川に

かかる七つの橋を無言で渡る「七つ橋めぐり」がある。人の心をなごませてくれる川。

冬、しんしんと雪が降り積もっている。朝の散歩では犬だけがうれしそうに走っている。そういえば妹

の背中に雪玉を投げて怒らせたなぁ。

そして、今年の秋、ぼくはまた浅野川での思い出をふやす予定だ。卒業証書を飾るための台紙を今作っ

ている。未来へはばたく「鷹」の絵と、「希望」の文字を入れた友禅で、浅野川の「友禅流し」をする。

ぼくも浅野川と一緒にこれから成長していくのだと思う。

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