2015年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  増田 守世

【特別賞】きれいとふしぎの雨がふる

今年の天気は雨ばっかり。わたしは、外で遊べないのでがっかり。いつもきれいな色をしている海も、

私の心みたいに茶色くにごっている。空から雨がポツポツふってきたら、また雨かと思う毎日だった。

やっと太ようが顔を出したら、みんな校庭にかけていく。わたしもかけだした。わたしは、雨上がりが

いちばんすきだ。ずっと晴れていてほしかったけれど、次の日にはもう雨。たいくつな日の始まりだ。

けれども、だんだん近づいてきていた。それは、わたしが雨をすきになる日。

家に帰る時だった。ふと、さかの下にあるアジサイを見た。うすピンク、こい青むらさき、うすい空

色。いろいろな色、全部とてもきれい。雨のしずくのせいかな。はんたいがわの道路を見た。アジサイ

にまけないカラフルなかっぱやかさの色。雨の日は、心もけしきも暗いものだと思っていたけれど、本

当はたくさんの色がある明るい日なのだ。雨の日って、いがいといい日なのかも。考えながら何気なく

地面を見て歩いていると、こんどはそっこうから水があふれていた。まるで、ふん水みたいだ。道路が

水びたしになるのは、このふん水のせいだったのか。そっこうのせまいすき間から、水がじゃんじゃん

出ているのを見て、わたしは楽しくなってきた。そして、わたしの頭からは、雨の日のにごった海のこ

となんてはなれていった。

ある日の水泳の時間、少し雨がふっていた。じゅんびたいそうのとき、上から見たら、水玉も様みた

いにかわいい丸がいくつもプールにうかんでいた。少しつめたいプールに入ると、もっとおもしろい形

が見えた。水面すれすれを見ると、今度は空からあられが落ちてくるような感じでパチパチはねてい

る。あられなのか。魚なのか。だんだん生き物のように見えてきた。水泳が終わると雨はやんでいた。

でも、校しゃにもどるじゃり道は雨のせいでペッチャンコになっていた。校庭はどろだらけでぐしょぐ

しょだった。わたしは、水たまりもすきだから、校庭の水たまりに入ってみた。思ったより気持ちわる

くなかった。楽しくなって、何回も足ぶみをした。

今年の夏、わたしははじめて雨の日がすきになった。そのことを先生に話したら、

「山があるから川ができます。川の先の海から、生き物のいのちはたん生しました」

と、教えてくださった。そうなのか。わたしのすきな雨は、山とも川とも海ともつながっている。そ

して、わたしのいのちは、しぜんのいろいろなものとつながっている。でも、どうやって雨はふるのだ

ろう。校庭は水たまりにしかならないのに、なんで川や海が作られるのだろう。わたしの頭の中のはて

なは止まらなくなった。雨のことも、きれいでおもしろい雨の日のことももっと発見したい。もっともっと知りたい。今日もわたしのまちに、きれいとふしぎの雨はふりつづける。

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