【特別賞】きれいとふしぎの雨がふる
今年の天気は雨ばっかり。わたしは、外で遊べないのでがっかり。いつもきれいな色をしている海も、
私の心みたいに茶色くにごっている。空から雨がポツポツふってきたら、また雨かと思う毎日だった。
やっと太ようが顔を出したら、みんな校庭にかけていく。わたしもかけだした。わたしは、雨上がりが
いちばんすきだ。ずっと晴れていてほしかったけれど、次の日にはもう雨。たいくつな日の始まりだ。
けれども、だんだん近づいてきていた。それは、わたしが雨をすきになる日。
家に帰る時だった。ふと、さかの下にあるアジサイを見た。うすピンク、こい青むらさき、うすい空
色。いろいろな色、全部とてもきれい。雨のしずくのせいかな。はんたいがわの道路を見た。アジサイ
にまけないカラフルなかっぱやかさの色。雨の日は、心もけしきも暗いものだと思っていたけれど、本
当はたくさんの色がある明るい日なのだ。雨の日って、いがいといい日なのかも。考えながら何気なく
地面を見て歩いていると、こんどはそっこうから水があふれていた。まるで、ふん水みたいだ。道路が
水びたしになるのは、このふん水のせいだったのか。そっこうのせまいすき間から、水がじゃんじゃん
出ているのを見て、わたしは楽しくなってきた。そして、わたしの頭からは、雨の日のにごった海のこ
となんてはなれていった。
ある日の水泳の時間、少し雨がふっていた。じゅんびたいそうのとき、上から見たら、水玉も様みた
いにかわいい丸がいくつもプールにうかんでいた。少しつめたいプールに入ると、もっとおもしろい形
が見えた。水面すれすれを見ると、今度は空からあられが落ちてくるような感じでパチパチはねてい
る。あられなのか。魚なのか。だんだん生き物のように見えてきた。水泳が終わると雨はやんでいた。
でも、校しゃにもどるじゃり道は雨のせいでペッチャンコになっていた。校庭はどろだらけでぐしょぐ
しょだった。わたしは、水たまりもすきだから、校庭の水たまりに入ってみた。思ったより気持ちわる
くなかった。楽しくなって、何回も足ぶみをした。
今年の夏、わたしははじめて雨の日がすきになった。そのことを先生に話したら、
「山があるから川ができます。川の先の海から、生き物のいのちはたん生しました」
と、教えてくださった。そうなのか。わたしのすきな雨は、山とも川とも海ともつながっている。そ
して、わたしのいのちは、しぜんのいろいろなものとつながっている。でも、どうやって雨はふるのだ
ろう。校庭は水たまりにしかならないのに、なんで川や海が作られるのだろう。わたしの頭の中のはて
なは止まらなくなった。雨のことも、きれいでおもしろい雨の日のことももっと発見したい。もっともっと知りたい。今日もわたしのまちに、きれいとふしぎの雨はふりつづける。


