2015年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  林 香君

【ざぶん文化賞】まほうの水

「優太、トマト何色がいい」「イエローアイコがいいな」

毎年五月になると、ぼくとおじいちゃんは、夏にむけて庭に何を植えるか相談します。

しゅうかくの時を想ぞうしながら、広告を見るのが楽しみです。

ぼくの好きなスイカ、カボチャ、トマトは、必ず育てます。おじいちゃんは、ぼくが生ま

れた記ねんにミカンの木を植えるほど、植物を育てる名人です。

けれども今年の夏は、いつもとちがいます。夏休み二日前におじいちゃんが入院してしま

いました。とつ然だったので、「おじいちゃん、大じょう夫かな」と心配になりました。庭を

見るとスイカやカボチャのめが、水てきでかがやいていてきれいでした。そして、よく見る

と実が三こ大きくなっていました。イエローアイコは、くきの下の方から、レモン色になり

はじめ、もう少しで食べごろです。

きのう、おじいちゃんが入院したのに、野菜たちは、なんでそんなに元気なんだよとさび

しい気持ちになりました。でも、おじいちゃんがここまで育ててきた野菜をそのままに放っ

ておく事はできません。そこで、ぼくがかわりに水やりをする事に決めました。

夏休みになって、朝のうちに畑の水やりをします。暑い日は、午後には土がかわいて、「早

く水をちょうだい」と言っているように葉がしおれてしまいます。でも、ぼくは今までしゅ

うかくだけで、野菜の世話をしていません。だから、どうしたらいいか分からないので、お

母さんにたのんで水やりの方法を聞いてきてもらいました。スイカやカボチャは、根もとだ

けにたっぷり水をやります。トマトやトウモロコシは、少なめにして土がかわいたらあげま

す。葉にかけすぎると、アブラ虫がでたり病気になるので注意が必要です。ただ水をやるの

ではなく、野菜に合わせて方法がちがう事におどろきました。おじいちゃんは、その日の天

気や葉の様子、土のかわいたじょうたいに合わせて水のあげ方を変えていました。

毎日水やりをつづけるのは、暑いし大変です。めんどうな時もあります。でも、野菜に水

をかけると、水てきは太陽でキラキラ反しゃしてビー玉のようにきれいです。あと、水のシャ

ワーに写るにじも水やりの楽しみの一つです。水やりは、三十分も時間がかかり全身からあ

せが流れでます。ぼくは、お母さんに見つからないように、自分の真上に向けてシャワーを

します。すると、熱い体がひんやりしてすっきりします。やりすぎると、びしょぬれになっ

てお母さんにしかられます。今年は、暑い日がつづいたためか、ぼくの水やりのせいか分か

りませんが、スイカが五こ、カボチャが六こだけで、去年の三分の一くらいしかとれません

でした。

夏休み半分ごろ、おじいちゃんがたい院できました。しかし、スイカのつるは、先の方が

茶色くかれはじめていました。おじいちゃんが、水をやるとしおれていた葉がピーンとのび

ます。野菜が「おかえり」と帰って来た事をよろこんでいるように思いました。そして、ス
イカは一週間ほどで根もとから新しいつるがのびはじめて、実が四こ大きくなりました。

「野菜は生きている」ぼくは、元気を取りもどした畑を見てそう感じました。おじいちゃん

の水やりは、まほうの水のように野菜が元気になってすごいなあと思います。やっぱりおじ

いちゃんは、植物名人です。まだ、夏は終わっていません。今年は、いっしょにしゅうかく

ができていないので、これからしゅうかくするのが楽しみです。来年もさ来年も、ずっといっ

しょに育てていきたいと思います。

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