【ざぶん環境賞】あいぞめ手ぬぐい
わが家のカレンダーは、毎月第一日曜日に青い丸がついています。青い丸は川そうじがあ る日で、その日は家族で益子の町なかの百目鬼川(どうめきがわ)に出かけるのです。
ぼくの家族は父、母、ぼく、弟の四人です。川そうじはぼくが生まれる前に、両親が仲間 と一緒に始めました。川そうじを始めたころは、宇都宮市のアパートから百目鬼川に通って いました。今は空きかんや空きビン、ビニールぶくろが多いのですが、最初のころは自転車 や電話機、紙おむつ、ネズミの死がいまで捨てられていたと聞いてびっくりしました。母は ぼくがおなかの中のいるときも川そうじに参加していたので、ぼくは仲間から
「千晶くんは生まれる前から川そうじをしていたんだよね」
とからかわれます。
川そうじのとき、みんなは自分の持ち場があります。父は川に入って、自分で決めた場所 のゴミを拾います。母は川ぞいのホウキグサの花だんの草むしりをします。ぼくは弟とゴミ を拾ったあと、ザリガニやカエル、オイカワ、カワムツ、トンボのヤゴをつかまえます。ぼ くたちはお茶会が終わるころになっても生き物さがしをやめられないけれど、父も母もつき あってくれるのでうれしいです。
百目鬼川が城内坂通りの下をくぐるあたりに、江戸時代から続くあいぞめ屋さんがありま す。益子町はやき物の町で知られていますが、ほかにもいろいろな手仕事が大切にされてい
ます。あいぞめ屋さんとは川そうじを通じて、知り合ったそうです。あいぞめ屋さんは自分 が子どものころ、百目鬼川であいぞめのノリを落としていたと話してくれました。そのころ の百目鬼川はきれいな水が流れていたのだと思います。そして、川底の砂にはヤツメウナギ がすんでいて、大豆で作ったノリをえさにしていました。ヤツメウナギは目のようなあなが たくさんついていて、口がまん丸だそうです。最初はチクワのような変な生き物だと思いま したが、話を聞いているうちにかわいいヤツに思えてきました。ところが、ヤツメウナギは 東京オリンピックのころから見られなくなったのです。ちょうどそのころからみんなのくら しが変わって、せんざいや農薬がたくさん使われるようになったからかもしれません。
ぼくは今までに二回、仲間とあいぞめをしたことがあります。一回目はTシャツ、二回目 は手ぬぐいでした。ようち園生のぼくはあいぞめのTシャツを着て、川そうじにでかけまし た。今のぼくはあいぞめの手ぬぐいを首にまいて、川そうじに出かけます。二〇二〇年の夏、 東京で二度目のオリンピックが開かれます。あいぞめの手ぬぐいはあと六年使えばボロボロ になってしまうから、それまでにもう一度手ぬぐいのあいぞめがしたいです。そして、今よ りもっときれいになった百目鬼川で元気いっぱい泳いでいるヤツメウナギを見たいです。


