2017年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  林 香君

【ざぶん環境賞】ガソリンの一滴

「ガソリンと水、どっちが高いと思う」 と運転している父がきいた。

「えっガソリンでしょ」

と当たり前のように答える私を見て父は微笑んだ。身近にある水と比べてガソリンは触れ

合わない人もいる。また、原料となる原油はなかなかとれず輸入に頼っている。そのように

考えるとガソリンの方が高いのではないだろうか。そう考えていると父が私の心を読んで証

明させるかのように、コンビニの駐車場に入った。

聞き慣れた音楽を聞きながら飲料コーナーへ向かった。水、水、水と、あった。五百ミリ

リットル、百五十円税抜と書かれた値札を見た。「思っていたより高い」と思いつつも、父の

言ったことが信用できなかった。お菓子やコーヒーをかごに入れた父が来た。

「どうや」

ときかれ、私は、 「百五十円」

と答えた。「まだ信用してないよ」 と目で訴えると、父は、

「行こか」と言ってレジへ向かった。そして、 「次、ガソリンスタンド行こか」

と言った。もうすぐ、父の間違った考えを直せるかと思うとうれしかった。

窓の向こうで父がガソリンを入れていると私は店の看板を見つめていた。石油一リットル

百三十円だった。ガソリンの量は二倍なのに値段は二十円も安い。今までさりげなく見てい

たが、今になってしょうげきを受けるとは思わなかった。入れ終わって隣に座った父が私の

顔を見て言った。

「周り見てみ。水はまだ残っているのに簡単に捨てるのに、ガソリン入れてる時は一滴も残

さんようにしてるやん。おかしいと思わんか」

確かに、と共感した。近くでガソリンを入れている人を見るとカンカンと一滴のしずくで

も入れようとしている。それにもかかわらず、水やお茶はそこまでガソリンほど大事にする

ような感覚がない。この行動を直さなければいけないと強く感じた。きっと父はこの事態を

分かって、あのような考えを持ってほしくて最初の問いをきいたんだと思った。

私はこの日を境に水を見る目が変わった。私たちは今も水が必要なくなったら捨てたり、

川や海などにごみを捨てたり、水を汚して水を大切にしているとは言えない行動を繰り返し

ている。しかし、ガソリンは節約したり、父のいうようにガソリンスタンドで一滴も残さな

いように入れたりする人もいる。さらに私たち日本人は、水や食べ物を十分にもらえていな

い地域が世界中にあると知りつつも、一日にその人たちが食べられる量を残している。世界

を見ると日本は恵まれている国だと思う。その中で、みんなが雑に扱っている水も大切にす

るべきだと思う。ガソリンの一滴に目を向けるのもいいが、水の一滴を今は見るべきだ。

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