【特別賞】みんなで守ろうみんなの水を
奈良県吉野郡天川村の水は、名水百選のひとつである。その村に住むのが私の祖父一家だ。この作文 を書くにあたり、祖父に話をしてもらった。村にはたくさんの広葉樹林がある。その樹木たちの葉が落 ち、段々と積み重なることにより、地表は大きなスポンジのようになる。それが降った雨を蓄える。蓄 えられた水は落ち葉のフィルターを通過し、浄化されながら少しずつ、谷に流れ込む。小さな谷から大 きな谷へ、大きな谷から川へ、川から海へと続いていく。これが、水のできる原理であり、はかり知れ ない自然の営みによって生まれる村の水が、美しい理由らしい。
そして、村では多くの家庭がその谷水を浄化することなく直接ひいて飲料水にしている。もちろん大 雨が降れば濁り、台風ともなれば取水設備が破壊され断水することもしばしばだ。また、その修理や 維持は集落の男性が総出で行っている。まさに、水とその周辺の環境を命がけで守っているのだ。 いっぽう、私の住む奈良市には天川村ほどの広葉樹林はないにも関わらず、蛇口をひねれば水が出 る。それが当たり前であり、知っていることと言えば、その水は近くの浄水場から届けられるというこ とだけで、自然の環境によって左右される水のでき方など、祖父に教わるまで考えたことすらなかった。
私は毎年夏休みには天川村へ帰っているが、村を訪れる都会の人達の多さには驚いている。家のすぐ 下を流れる川は天の川というとてもきれいな川で、水泳や川遊びをする人でいっぱいだ。その人達の中 で水のでき方を知り、自然を大切にする意識をもって楽しんでいる人はどれくらいいるだろう。真夏に はあんなににぎやかだった川は、秋になると静けさを取り戻すだけでなく、置き去りにされたゴミで汚 れていた。その状況を見て、私は毎年心が痛む。水は、たくさんの過程を経てできあがる。その過程の
どの行程が欠けていてもいけないが、それを汚していく人がいるというのが現実なのだ。
人間は自然の力には勝てないが、自然の環境を守ることはできる。だから私は、この地球にいる全て の生命の源が水である以上、水を守ることはもちろん、水を生み出す自然環境をも守らなければならな いと思う。水とそれを生み出す自然に感謝すること、人間は一日たりとも水がなければ生きられないこ と、でも常に水が使えるのは決して当たり前ではないことを忘れずにいたい。そして、その思いを広げ る第一歩として、この作文を多くの人に読んでほしい。これを読んで、真の水の大切さについて、もう 一度考えてもらいたい。水があり、それを使えることがどれだけ幸せなのか。水を守るために私達がで きることは何か。これからも考え続け、実行し続け、伝え続けることで、水を守っていきたい。


