2013年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  荒木 崇

【特別賞】石垣島での体験

これは一年前の夏休みの話です。僕にとってはとても良い思い出になっています。母が僕にきれいな海

を見せてあげたい、と言って、沖縄の石垣島へ連れて行ってくれました。

僕が住んでいる新潟県から石垣島に行くには、飛行機に乗らなくてはなりません。僕は初めて飛行機

に乗り、石垣島へ向かいました。沖縄の上空で窓から海を見下ろすと、太陽の光が海に反射して、まる

で宝石をばらまいたように見えました。僕は、地球が生み出した、神秘の輝きだ、と思いました。

しかし、その頃沖縄方面に台風が迫っていました。しかも一つではなく二つです。台風九号と十号はも

ういをふるい始めて、おだやかだった海は激しく荒れて、横なぐりの雨に見舞われました。石垣島の空

港を出ると、今まで経験したことのないような暴風雨で、体にあたる雨粒が石のように感じられました。

このような天候だったため、僕が一番楽しみにしていたシュノーケリングが中止になりました。テレビ

のニュースでしか見た事のない激しい暴風雨で、自然の恐ろしさを体験しました。

けれど、落ち込んでいる所に救いのヒーローが現れました。空港からホテルまで送ってくれたタクシー

ドライバーさんです。そのドライバーさんは、「台風の目の中でも波がおだやかで、魚やサンゴの見る事ができるポイントがある」と教えてくれました。半信半疑で連れて行ってもらうと、ほとんど波のないきれいな海が一面に広がっていました。観光客が数人しかいなくて、プライベートビーチみたいでした。

砂浜は白くて「星の砂」もありました。星の砂とは、砂の形が本当に星形になっている物です。砂浜を歩いていくと、小さなカニやヤドカリがたくさんいました。海に入ると、サンゴの間から、鮮やかな青色をした小さな魚がたくさん出てきました。透き通ったきれいな水にサンゴの海、上越で見る海とは全く違うものでした。同じ日本の海なのにどうしてこんなに違うんだろう。このきれいな海を守りたいなあ、と思いました。ポイ捨ては絶対にしないし、しようとした人を見つけたら注意していこうと決めました。

それから、ドライバーさんはマングローブの林に案内してくれました。そこも観光ガイドには載って

いないドライバーさんのおすすめスポットでした。ちょうど干潮の時間だったため、海水がなくマング

ローブの幹がむき出しの状態でした。木の近くの地面には、ポツポツたくさんの穴が空いていました。近寄って見ると、穴から片方の手だけ大きくしてもう片方の手が小さいカニみたいな生き物がいました。

ドライバーさんに名前をよく聞いてみると、「シオマネキ」という名前で、大きい方の手で手招きして満潮をむかえる事からついたんだよ、と教えてくれました。確かに、よく観察すると、手を回している姿が、手招きしているようでした。

その後、川平湾に向かいました。川平湾はミシュランで三つ星をもらうほどの絶景で、テレビ番組な

どでも特集される事もあるそうです。すごくきれいな景色で、さっきの海よりも、さらに青い海に見え

ました。

帰り道に、ドライバーさんはさっきのマングローブ林に寄ってくれました。たった二、三時間しか経っ

ていないのに、潮が満ちて来て、マングローブの幹は全く見えなくなっていました。普段の生活で潮の満ち引きを見比べたことがなかったので、とても驚きました。

母が僕に見せたかった青くてきれいな海は僕が大人になっても必ず残っていてほしいし、今度は僕が

母親を連れて行ってあげたいと思いました。

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