【ざぶん文化賞】やっぱりきゅうり星人
勤め人を卒業したじいじは、鹿児島でめだかの学校の校長先生をしながら、畑を耕してい
ます。
「きゅうり星人の主食を送ったど」
毎年汗ばむころになると、じいじの野菜便には、スーパーのものよりも太くて、長くて、
甘いきゅうりが入り始めます。
きゅうり大好き・きゅうり星人は、この夏休みに鹿児島に行きました。めだかの学校は、
水そうの教室が三つと、大きな洗面器教室が三つもありました。 「今年は、あまり増やさなかったからな」
とじいじは言いましたが、各教室では、たくさんのめだか達が水草の間をぬって泳いでい
て、きゅうくつそうに見えました。
朝、耳かき一杯のえさを各教室にまきました。大きく口をパクパクさせるめだか達。
「たくさんやると、食べきれないえさで水がにごって、死んでしまうぞ」
おかわりをやろうとしたら、止められました。きゅうり星人は言いました。
「にごったら、水を替えたらいいやん」
「いや、じいじのめだかの学校では水は替えないよ。その辺の池と同じように、水草がたっ
ぷり入ってるだろう?底にはタニシもくっついてるぞ。できるだけ自然と同じ環境で育て
ているんだ」
言われてから気付きました。じいじの水そうには、空気を送るポンプがないことに。
「ねえ、ここでは、光合成してるの?」
「もちろんだよ。水草が二酸化炭素を吸収して酸素を出しているから、よく観察していたら、
細かい泡を見つけられるはずさ」
きゅうり星人は、水草には、めだかが出す排せつ物を分解して浄化する作用と、水中の栄
養バランスを整えて植物性プランクトンの大量発生を防ぐ作用があることも知りました。
水中植物、侮りがたし!と思いながら畑へ行くと、主食のきゅうりがありません。
「もう、畑のきゅうりは終いじゃった」
がっかりです。採れたてのきゅうりの甘さにひたろうと、もくろんでいたのに…
「かぼちゃはどうね?ちょうど食べ頃。にがうりが今最盛期。冬瓜も瓜の仲間じゃっど」
南瓜は好きだけど、苦瓜は苦手。きゅうり星人は、胡瓜の断面から水分が丸く出てくるの
を思い浮かべて、言いました。
「畑の瓜の仲間には、水瓜ってある?」
「なんね、スイカ星人に変身か」
「水に瓜ってスイカなの?西に瓜じゃないの?」
畑にある瓜仲間を漢字にしたら、他には、糸瓜(へちま)と王瓜(からすうり)がありまし
た。
麦わら帽子のじいじが笑っています。
「スイカ星人に変身するなら、来年はスイカを植えるぞ」
「いや!私はやっぱりきゅうり星人だから、長く収穫できるように胡瓜を沢山植えて」
次こそ、採れたてきゅうりをほおばるぞ! きゅうり星人は、強く心にちかいました。


