【特別賞】豪雨の体験
私は雨を知らなかった。
突然の豪雨。雨のせいで何も見えない。
大量の水が私の小さな世界を埋め尽くす。
空から世界中にある、水という水が一気に落ちてきた。 滝壺の中にいるようだ。
どどどどど・・・耳が痛い。
激しい雨音の静寂。
昨年の夏、九州地方の大分県へ家族旅行に行った。九重連山(くじゅうれんざん)という山々に囲ま
れた一帯は阿蘇くじゅう国立公園に指定されている。 自然の多い場所だ、そこでの晴れ間からの突然の雨だった。 ざあああああああああああああああああ。
今までに一度も経験したことのないくらいの雨の量に私はおびえた。ここは日本だというのにそれす
らも忘れてしまいそうだった。
「自然の力」、「自然の恐怖」、「人間の無力さ」。
私の住む香川県はまず、このような大雨は降らない。瀬戸内海気候のため年間降水量はとても少な
く、梅雨期の降水量が少ないと渇水となる。
水不足は深刻で古来より多くのため池を築いてきた。だが、十分な水の確保はできなかった。
一方、讃岐山脈をはさんで徳島県の吉野川周辺では大きな洪水による被害が度重なった。そのため吉
野川流域の安全と水の安定供給を目的とした吉野川総合開発事業が計画され、早明浦ダム、池田ダム
とともに計画の一環として香川用水は建設されている。渇水時の飲料水や農業用水の不足は「香川用
水」により改善されている。香川県に導かれた香川用水完成後、香川県内の水事情は大幅に改善され、
かつてのような深刻な水不足も殆ど発生しなくなった。
しかし、一九九四年の夏に大渇水が発生。水瓶であるはずの早明浦ダムは貯水が底をつき、香川用水
への水の供給が大幅に減らされることとなる。
この事態により香川県では、断水が行われるなど市民生活、経済活動に大きな影響が出た。
場所が違うと極端になる。私は体験し実感した。香川県では恵みの水が驚異の水になることを。
今年の夏は、雨が降らずに庭の草花たちが焼け枯れてしまった。
水がなければ生きていけない。だが、水が多ければ災害がおきる。つまり、上手に人間が知恵を出し
合い自然と共に生きていくすべを考えなければならないと思う。
九重の山々よ、恵みの雨よ。神々の体験を肌で感じることができた貴重な体験である。
私はあの九州地方の大分県でおこった激しい雨の日のことはいつまでも忘れないだろう。


