2017年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  増田 守世

【特別賞】じゃがいものリンゴ

今ではない時代の話。

十一人兄妹の末っ子で六才のオクトー君は、川でつったアユを食べたり、田んぼで育てたお米を食べ

たりして、家族と一緒に楽しく暮らしていました。

そんなある日、オクトー君がおうちから出てみると、外がものすごく暑くなって砂漠になっていまし

た。驚いたオクトー君は、ハル村長のもとへ向かいました。ハル村長は、

「……す、すまん。わしら大人が悪いんじゃ。欲にまかせて木をきりすぎてしまったためにツケがま

わってきたんじゃ」

と少し悲しそうに言いました。水がないので田は干上がり、畑のものは枯れてしまっています。オク

トー君は村長と相談して、幼なじみのケイシーちゃん、四つ年上のレイ兄さんと一緒に他の星から食糧

を分けてもらうために宇宙船に乗って旅立ちました。

旅に出て二日後、ババ抜きをしていると宇宙船の窓から、じゃがいものような星が見えました。なん

となく食欲がそそられ、その星に降りました。しかし、そこは、水など一滴もないカラカラの惑星でし

た。

ところがどうでしょう。翌朝起きて見ると、ドーッとものすごい勢いで滝のように雨が降っています。

三人は雨がやむのを待ちました。おしゃべりをしたりして。長い間。一年間。

宇宙船につんであった食糧がつきたころ、雨がやみました。外へ出ると、一年前にできていた小さな

水たまりが海になっていました。オクトー君たちは、とてもうれしくなって、三人で泳いだりして遊び

ました。

泳ぎ疲れて陸で休んでいると、後ろから

「だれ?」

と立派なヒゲの青年が話しかけてきました。

「びっくり。ここにも生き物が居たんだね。僕はオクトー。君はだれ?」 「私はアダームです」

「すみません。ぼく達のふるさとの星のために、食糧を分けてくれませんか?」 「よろこんで。タコのオクトー君」

そして、アダームさんは、たくさんのリンゴをくれました。お礼にオクトー君たちは、自分たちのふ

るさとの話をしました。

「僕らの星では、木を切りすぎて砂漠化と温暖化が進み、水が蒸発して農業ができなくなったんだ」

そして、もう一つのお礼として洞窟の壁に

「リンゴをたくさんありがとう。これだけきれいな水がたくさんあるのだから、無駄使いするなよ、火

星のタコ星人たちより」

と書き、ついでに宇宙船の絵を描いた。

地球のきれいな水とリンゴが大好きになった火星人のオクトー君達は、ふるさとの火星の温暖化をく

い止め、もう一度森を作ろうと決めて旅立って行った。

それからどうなったかな?一人目の地球人類が生まれたころの遠い昔の話。
※注釈(二〇一七年現在、火星では水が通ったと思われる跡が多く発見されている)

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