2016年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  西 のぼる

【海上保安庁長官賞】よみがえった海

夏といえば海水浴。泳ぐのが好きな私は、この夏が来るのがとても楽しみです。

水中花火で有名なサンセットビーチや、私の家からも歩いて行ける浜地海水浴場が三国に

はあります。

三国の海の水は、とてもきれいです。

透明度が高く、泳いでいる魚が見えるほどです。

砂浜にもあまりゴミが落ちていないので、思いっ切り裸足で走ったり、寝転がったり、砂

の中に友達の体をうめて遊んだりできます。

私はこんなきれいな海が近くにあるおかげで、毎年、楽しい思い出を作ることができて、

幸せだなと思います。

ある日、母から

「この海が昔、重油で真っ黒になったことがあるんだよ」

と聞いて驚きました。それは平成九年一月七日に起きた「ナホトカ号重油流出事故」のこ

とでした。

この事故のことを調べてみると、ロシア船籍のタンカー「ナホトカ号」が一月二日に島根

県隠岐島の沖において、一万九千キロリットルの重油を積載した状態で、激しい波により、

二つに折れたそうです。

その結果、船から大量の重油が流出し、その重油が入った船首部分が風に流され、一月七

日に三国の海岸に漂着しました。

そのため海岸が真っ黒に汚れ、ものすごい異臭がたちこめ、回復が危ぶまれたそうです。

私はこの事故のことを「イルカのラボちゃん」という絵本を小さいころに読んで、少しだ

け知っていました。その絵本は重油流出事故で被害に遭ったイルカが、まだ生後六ヶ月の赤

ちゃんだったのに、大勢の人のおかげで無事、移送に成功した話です。 昔読んだ時はこんなに大変な事故の時の話だとは思いませんでした。

今回、改めてナホトカ号重油流出事故を調べたり、実際に漂着した安島の海岸に立って石

碑を見てきたりしました。石碑を見て、この事故の被害の大きさ、そこから回復するために

地元の人々やボランティアの方々の懸命な手作業があったことが分かりました。

ひしゃくで重油を取っていたなんて、とても大変だったんだろうなと思います。

そのおかげで、この美しい海によみがえりました。

私は、今まで何も思わず海水浴を楽しんできました。でも、これからは、この海があるの

は当り前ではないということを覚えておきたいと思います。

また、手伝って下さったボランティアの方々への感謝の気持ちも忘れず、海を大切にして

いきたいです。

来年で事故からちょうど二十年が経ちます。私たちが生まれる前の出来事だったので、も

ちろん、実際に見たことはないし、気にしない人も、たくさんいると思います。

けれど、せっかくよみがえったこのきれいな海を、いつまでも、三国の自慢となるように、

しっかり守っていかなければならないと思います。

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