2016年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  森永 江美

【特別賞】守り続けたい!河原津海岸

「これ、見て、なかにちっちゃなイカの赤ちゃんが泳ぎよるよ」

コウイカの赤ちゃんとの運命の出会いは、私が四才の時、小学校の夏休みの宿題で観察をする兄のた

めに家族で出かけた河原津海岸でのことだった。

暑い、気温三六度、八月になるころには、三七度をこえる干潟観察。兄の助手として後から小さな赤

のバケツ、あみを使って、アマモのはやしの中をゆっくり、ゆっくりさぐっていくと、小さな生物に出

会える。海の生物は、とてもせんさいで、人間の手のぬくもりで、体にやけどをしてしまう。気をつけ

て干がたを歩いても、小さな生物、アメコブシガニやヤドカリを踏んで殺してしまうこともある。

六月、水温二五度になるころ、アマモの林には豊かな生き物たちの活動の季節になる。

最小のイカ、ヒメイカは、メス〇・八センチメートル、オス〇・五センチメートル位までしか大きく

ならないイカ。腹の部分に粘着質の部分がある、アマモにしっかり体をくっつけて、体が潮に流されな

いようにするためである。ヨウジウオは、ヨウジのような細い体、体長五センチメートル位、しっぽを

アマモにくるくるまいて、潮に流されないようにしている。フグやチヌの一・〇センチメートルぐらい

の稚魚もアマモの林に守られ育つ。アマモは、海の生物の命のゆりかご、コウイカ、アオリイカ、シリ

ヤケイカは、産卵の場所になり、命をつないでいくのだ。

河原津海岸には、キンセンガニや、絶滅危惧一種のカブトガニが生息している。昭和二十四年、カブ

トガニは県の天然記念物に指定され保護されている。今年も、カブトガニ探険隊が七月三一日にあり、

二〜五齢のカブトガニの幼生を放流した。カブトガニが絶滅危惧種第一種に指定されてからは、西条市

が募集しているカブトガニ飼育ボランティアの飼育はなくなったが、十四年間、私の家もカブトガニの

幼生を飼育して、放流するボランティアをしていた。海水をくみに河原津の海に家族ででかける。海水

をくんでいる間私は、干がたで海の生き物たちのたくみな命の営みにふれることができた。アナアオサ

が海岸のちょうど潮がうちあがっているところにうちあげられている。ピョンピョンとはねているヒメ

ハマトビムシは、コウイカの赤ちゃんが生まれて一週間程経った頃初めてのエサとなる。コウイカは大

きくなるにつれて、大きなエビを食べるようになる。小学一年生から中学三年生まで、私は、夏休みの

理科自由研究でコウイカの研究をしてきた。コウイカも生まれた瞬間から、スミをはいて逃げるし、巧

みに体の色や体を擬態させて、砂に似せたりする。オスがプロポーズする時に、体の半分はオスに、敵

のオスにはメスの体の色になったり、一生懸命命をつなぐようにしている。産卵後、コウイカは死んで

しまう。

今年も河原津には、こうした命の営み、命のリレーがあった。

カワラサイコの黄色い星の形をした花が咲いている。永遠に自然豊かな海岸河原津の自然を守ってい

きたいと思う。

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