2013年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  一二 明子

【ざぶん文化賞】大海女になる

私の将来の夢は大海女(おおあま)になることだ。海女になろうと思ったきっかけは、小学校

一年生の夏休みに、ばあちゃんと一緒に海へ行ったことだ。ばあちゃんは海女だが、私はそれま

で海女というものに興味を持っていなかった。

その日、私はばあちゃんたちと一緒に船に乗って海に出た。船の上では、海女のおばちゃんた

ちと話したり歌ったりして、はしゃいでいた。やがて目的地に着いて九時になり、海女たちが一

斉に海に飛び込んだ。海を眺めているとき、急に気持ち悪くなった。船が急に止まったからだ。

父ちゃんに「寝とれ」と言われ、すぐに寝た。しばらくして目覚めると、気持ち悪いのも治まっ

ていた。

海を見ると何人もの黒い人がいる。あの中にばあちゃんやおばちゃんたちがいるのだろうかと

思いながら、海をのぞきこんだ。海は透き通ってとてもキレイだった。底がよく見えるから少し

こわかった。ビビりながらもう一度身を乗り出すと、誰か潜っているのが見えた。

最初私は、「サメおらんのかな?」とか「こわくないのかな?」とか思っていた。でも、何回も

何回も深いところに潜って、何回も何回も上がってくる。「苦しいのにがんばってるなあ」と思っ

た。船の反対側に移動すると、おばちゃんがいた。ずっと見ていると、頭を下に足を上げて深い

底へ潜っていった。もうそろそろかなと思っても上がってこない。心配になってのぞくと上がっ

てきた。黒い底から上がってくるおばちゃんを見て、「かっこいい」と思った。海に広がる海女

笛。とてもかっこ良かった。

またしばらくしてのぞきこむと、ばあちゃんがいた。腰にあわびおこしを差して底へ潜って

いった。上がってきてサザエを浮き輪に入れた。本当にかっこ良かった。そして、その日に私の

夢が決まった。絶対に海女になると決めた。

近くの海岸で潜って、サザエを採って友だちにほめられても全然嬉しくなかった。ばあちゃん

たちには叶わないから。ちょっと悔しかった。夏休み毎日海へ行って、少しずつ深い所に行ける

ようになった。でも、納得いかなかった。

六年生の夏休み、船に乗って友だちやいとこと一緒に海へ行った。私がどれだけの量を採って

も、深い所に行っても、ばあちゃんとじいちゃんは友だちのことを褒めていた。とても悔しかっ

た。いつか見返してやると思った。でも、やっぱりばあちゃんたちには叶わない。

いつか、ばあちゃんやおばちゃんたち、どこの海女にも負けない大海女になってみせる。

中村萌と聞いたら「あの人はすごい大海女や」と言われるくらいの大海女になる。

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