2012年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  一二 明子

【ざぶん環境賞】みんなで守るぼくらの水

 

蛇口をひねると出てくる水。

 

それがずっとあたり前だと思って生活してきた。しかし、それがあたり前ではないとわかっ

たのは、去年の秋のことだった。

 

その日は、地域の秋祭りの日だった。ぼくの家に親せきの人たちが来ることになっていた

ので、朝からみんなでその準備をしていた。昼前になり、食事の準備をしていた母が、水の

出が悪いことに気がついた。いつもは勢いよく出る水が、弱々しい出方になっていた。それ

でもしばらくの間は出ていたが、次第に水がにごり始めて、とうとう出なくなってしまった。

水が出なければ、トイレも使えない。それからは、みんな大あわてで、ペットボトルにお風

呂の残り湯を入れてトイレに運んだ。大人の人たちは、水のタンクのある山の中まで状況を

調べに行ったりしていた。

 

ぼくの住む地域は、上下水道が整備されていない。そのため、山から流れてくる水をタン

クに貯めて、それをろ過し、簡易水道のかたちで生活用水として利用している。それは、ぼ

くのひいじいちゃんたちが、地域のみんなで相談して作ったそうだ。山に降った雨や地下水

を利用しているのだから、雨が降らない日が続いたらタンクの水が少なくなり、使用する水

の量に気をつけなければならない。また、逆に大雨が降ると、水がにごったり、水を運ぶパ

イプが、流れてきた土砂で詰まったりする。だから、タンクやパイプの管理が大変だ。

 

 

ぼくの住んでいる集落には、七戸の家がある。中には、一人暮らしのお年寄りの家もある。

しかし、みんなで協力して、毎月順番に水道タンクの当番をしているそうだ。タンクは山を

登った林の中にある。水の状況をみるだけでなく、時にはタンクの中を洗う作業もある。そ

の時は、大人の身長ほどの深さのあるタンクに入ったり出たりしなければならない。お年寄

りにとってはとても大変な作業だ。他にも、細かい作業をしなくてはならないらしく、数か

月に一度しか回ってこない水道当番だが、かなり大変なことだと感じた。また、ちょっとし

たミスが、地域みんなの生活を乱してしまうのだということもわかった。

 

結局、この日の断水の原因は、ふだん締めていなければならないバルブを締め忘れたため、

水が貯まっていなかったということだった。それは当番の人のミスだった。しかし、原因がわ

かっても、大人の人たちは、当番の人を責めるわけでもなく、みんなで協力して作業してい

た。その姿が、ぼくの心に今でも残っている。

 

今までぼくは、雨が降った後にお風呂の水がにごるのがとてもいやだった。でも、このこ

とで、水を守っている地域の人たちの努力を知った。僕たちの生活を支えてくれているこの

水を、ぼくも地域の人たちと同じように大切に思い、大切に使っていきたいと思う。

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