2012年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  羽場 文彦

【特別賞】川の神様

ある日、山の上に住んでいるおじいさんが、村の人に食べ物を分けてもらえるようにたのんでいました。

 

おじいさんは、以前はおばあさんと仲良く暮らしていて、食べ物にも困っていませんでした。しかし、

ある晩、おばあさんは急に苦しみ、おじいさんはどうにかしようと、いろんな所へ薬草を探しにいきましたが、時すでに遅く、おばあさんは亡くなってしまいました。おじいさんは悲しみました。

 

おじいさんはおばあさんを亡くした後、意地悪になって、村の人達に嫌われるようになりました。おじ

いさんもだんだん歳をとって体が弱くなり、食べ物を作ることもできなくなってしまったのです。それで仕方なく村の人に食べ物を分けてもらいにいきました。

 

村の人は「こんな奴に食べ物を分けてやるものか」とおじいさんを追い払ってしまいました。おじい

さんは、お腹がすき、のども渇き、今にも倒れそうな状態で村を後にしました。意識もほとんどないけれ

ど必死に歩き続けました。しかし、体力も気力もなくなってついに倒れてしまいました。もうだめだ、そう思っていました。

 

その時、ふと前を見ました。そこには生前、おばあさんが大切にしていた川があったのです。おじいさ

んは川のところへいこうと頑張ります。が、歩くこともままならず、たどり着くことができませんでした。

 

その時、川から誰かが現われ、おじいさんに水とおにぎりをもってきてくれたのです。

 

おじいさんは最後の力を振り絞って、水とおにぎりを食べて動けるようになりました。

「ありがとう」とおじいさんは何度も何度もお礼をいいました。

顔をあげて見ると何と、川の神様でした。

「何故あなたが、わしを助けたんだ?」と疑問に思い聞きました。川の神様はいいました。

「昔、この川は汚れた川だったのです。それはもうひどく、わたしの力も弱まってしまっていたのです。

その時、おばあさんがやってきて、ゴミ拾いを始めたのです。雑草をとって、毎日、毎日掃除をしてくれ

ました。川はみるみるきれいになっていきました。そこで、おばあさんに何か恩返しをしようと思いまし

た。しかし、おばあさんは、その恩返しはいつかここで困った人にしてあげて下さい、といってここを後にしていきました」

「そうか、おばあさんがそんなことを…」おじいさんはいいました。

「困った人を助けると、おばあさんと約束したので当然のことです」と川の神様はいいました。

「ありがとうございました」心からそういったおじいさんに、すると川の神様はニコッと笑ってその場から消えていました。

 

それから、おじいさんは意地悪をやめ、川の掃除をするようになりました。ゴミを拾って、雑草をとっ

て神様のため、おばあさんのために川をきれいにしようと、毎日頑張ることにしました。そんなおじいさんの姿に心動かされ、村の人達も一緒に手伝うといって、みんなで協力してきれいにすることにしました。

 

美しい水の流れる緑の豊かな川になり、川の神様はとても喜び、おじいさんはうれしい気持ちでいっぱ

いになりました。村の人達とも仲良くなり、おじいさんは幸せに暮らしました。

 

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