【特別賞】ドッピンシャン、シャッピンシャン
「お〜い、なんか見つけたぞ」
川の向こう岸からお父さんが手をふる。
今日は家族そろって川原に化石採り。
お母さんとお兄ちゃんと僕は浅瀬で、お父さんは川の向こう岸で朝からせっせと化石を探していた。 「ほら、この石をみてごらん」
お父さんはお兄ちゃんの手にその石をのせると真剣な顔で
「中から変な音が聞こえてくるんだ」
と言って、耳を石に近づけた。
「えっ、本当?」
お兄ちゃんはその石をマジマジと見ると、自分の耳へと近づけた。
「うわ〜。本当だ。何か音がする!」
そう言うと、その石を僕の手にのせた。
恐る恐るその石を耳に近づけると
「ドッピンシャン、シャッピンシャン…」
と不思議な音が聞こえてきた。
「うわ〜、何だこれ」
石の中からかすかに聞こえてくるその音に、僕はちょっぴり怖くなってしまった。
「中に何か入っているのかな…?」 僕はその石を軽くふってみた。 すると
「チョロチョロチョロ……」
なんと石から水がしたたり落ちてきた。
「うわ〜…なんだこれ」
僕が思わずその石を投げ捨てた時だった。
「バッシャンーン」
石がはれつして中から水があふれだした。
「……………」
僕は夢を見てるんじゃないかと思って、自分のホッペタを思いっきりつねってみた。
「痛て〜」
夢じゃない。お父さんもお母さんもお兄ちゃんも目をまん丸にしている。
「これどこにあったの。僕、行ってみたい」
僕の言葉にお父さんはうなずくと、向こう岸へと案内してくれた。
その場所は小さな丸い石が沢山落ちていて僕は、一つ一つその石を拾っては耳にあててみた。 「ドッピンシャン、シャッピンシャン…」
どの石からも不思議な音がした。僕達はその石を持ち帰り大切に保管した。
二年後、日本は大干ばつにみまわれた。
でも、大きな被害はなかった
それは、僕たちが持ち帰ったあの石のおかげ。
日本各地のダムにあの石を投げ入れた。
「ドッピンシャン、シャッピンシャン…」
投げ入れたとたん水はこんこんと湧き出した。
あれは神様からの贈り物だったと思う。
だって、あの石を投げ入れたダムは、かれることなく今もこんこんと水があふれ出ている。ドッピンシャン、シャッピンシャンと。


