2018年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  鹿野 洋

【ざぶん文化賞】未来に続けきれいな川

ドンドンドン。

「起きてください。車があぶないです」

家の前の住んでいるお兄さんでした。三年前の九月、夜に大雨がふりました。ぼくはいつものようにねむってしまい、家の周りがどうなっているか全然分かりませんでした。お父さんとお母さんは、何事かと起きて、げん関を出ると家の周りが海になっていたと話してくれました。

ぼくの家は坂の下にあり、くぼみになっています。家の前には二メートルくらいの川がゆったり流れていて、川底が見えるくらいの浅い川です。いつもはおだやかで、夏は川の流れる音が気持ちよく、家の庭からのぞくことが大好きでした。家を建てる時に大工さんたちがスイカやジュースを冷やしていたとお母さんから聞きました。

そんな川が大雨の後別の川になっていました。茶色の水、流れが早く、あっというまに一面が大きな水たまりになってしまいました。お父さんとお母さんは、車のカギをもって駐車場におりていきましたが、お父さんのむねのところまで水がたまっていて車に行くまでに時間がかかりました。車は運転席の下まで水につかっていましたが、何とかエンジンがかかり動かせました。ですが、三台ともその後動かなくなってしまいました。ぼくの家は車だけですみましたが、前の家に住んでいる人たちは、一階部分が水につかってしまい、救命ボートで助けてもらっていました。起こしてくれたお兄さんも、ぼくの家の庭から様子を見ていて、「流されていく…」と話していました。

ぼくの家のとなりには「大雨時路面冠水注意」のかん板が立っています。川はいつもおだやかです。ですが、お父さんはあれから雨がたくさんふると川の様子を何度も見に行っています。ぼくも時どきいっしょに見に行きます。どうかこのままやさしい川でいてくださいと心の中で思いながら。そして、いつまでもこの風景が続くよう、悲しい思いをしないよう、今はまだできませんが大きくなったら川をきれいにしていく活動に参加していきたいと思っています。

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