2017年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  青山 恵

【特別賞】初めてのつり

「よし宏斗、釣りに行くぞ」

僕は、小学校六年生の時に、お父さんと一緒に初めての釣りに行くことになった。お父さんの釣竿を

貸してもらい川へと向かった。狙いは、ブラックバスだ。魚の中でもブラックバスは、簡単に釣れる方

なので最初はすぐ釣れるだろうと意気込んでいた。

ボートを川に浮かべ乗り込む前に、お父さんが僕に、ライフジャケットを着せてくれ、ボートに乗る

時は、ライフジャケットを着ることが義務づけられていることを教えてくれた。

ボートに乗り込むと、ボートが揺れ足元がふらつきボートにつかまり動くことが出来なかった。僕は

落ちたらどうしよう、と不安で仕方が無かったが、座ったままのお父さんに、釣り方を教えてもらって

いるうちに、少しずつボートの上に慣れていき、さっきまでの不安は、いつの間にか無くなっていた。

釣りを始めて三十分、ボクの竿はいっこうにしなる様子は無く、少し飽きかけたその時、お父さんの

竿に魚がかかった。

「ひろと、来い

と、僕を呼んでくれ、一緒に釣らしてくれた。大きくしなる竿を左右に動かし、リールを巻いていく。

水面に魚が見えた時、僕はおどろいた。想像よりも大きな魚だったからだ。魚を釣り上げた後は、とて

もうれしかったが、反面、自分の竿でも釣りたいという気持ちが更に湧いてきた。

自分の席に戻り、自分の竿で釣りを再開しようとしたが、気温が上がり、暑くてライフジャケットの

存在が邪魔になり、お父さんに脱ぎたいとうったえたが、

「何かあってからでは遅いんだぞ!!」

と言って自分の体験談を話してくれた。

お父さんが若い頃、友だちとダムで釣りをしていた時、誤ってダムに落ちてしまったらしい。泳ぎは

苦手ではなかったらしいのだが、頭から落ちて水を飲んでしまったのと、洋服の抵抗で上手く泳げずに

おぼれてしまったのだ。一緒に乗っていた友達がライフジャケットを投げてくれて助かったが、水深四

十メートルのダムで、本当に恐ろしい体験だったと話してくれた。 夕方になり僕は、一匹も釣る事が出来ずがっかりしていたが、

「無事に終われた事が何よりの釣果だよ」

とお父さんが言ってくれた。

毎年たくさん起きる水の事故。浅い川だからとか、泳ぎが得意だからなどと過信せずに、海や川な

どで遊ぶ時は必ずライフジャケットを着用して、みんなに大切な命を守ってほしいです。

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