2016年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  山本 みゆき

【特別賞】貴い水を守る

毎夏私の暮らしている地域では、縄文・弥生時代から先人がはぐくんできた自然、歴史や文化、な

りわいを受け継ぎ、山の神、海の神、火の神、水の神に感謝する名立まつりがおこなわれる。名立中学

校の一年生が早朝、不動地区に出向き、石油採掘地から原油を採火、名立川の水源地から採水するの

を皮切りに、祭りを始めるのが近年の習わしである。採取した火と水を神輿に乗せ、各地区で祭事を行

いながら名立谷を縦断していく。巡行の次第に住民の心が一つになり、熱を帯びていくお祭りである。

中学一年になった私は、採水式を行うため不動山麓を目指した。夏とはいえ早朝のひんやりとした空

気に包まれ、鳥のさえずりを聞き、滔々と流れる名立川を遡り、あぜ田に吹き抜ける風を感じながら、

神妙な面持ちで採水式に臨んだ。今思い出してもこの時ほど、学校の脇を流れる名立川の存在を貴いと

感じたことはなかった。

霊峰の数々が名立川の豊富な水源となっていることは言うまでもない。古くは、勘兵衛が竹田用水を

造り、名立区内の農業振興に役立ててきた。また、潤沢な水は区内の飲料水に限らず、上越市の飲料

水や発電をもまかなうほどである。さらには、漁場を育み、天然のサケやアユが獲れるのもきれいな水

があってこそである。

水の歴史を紐解けば、水道設備の整わない時代は、飲み水を始めとする生活水は井戸水や川から汲

んだ水を使っていたそうだ。けれど生活が豊かになるにつれ、川の水も汚れ、井戸水の衛生面も考慮し

た結果、水道水が普及した。蛇口をひねれば安全な水が出てくるのが当たり前の時代の到来である。し

かして高度な浄水処理で消毒された水に飽き足らずより美味しい水を求めて、ペットボトルで水を買っ

たり、ウォーターサーバーを設置するのが昨今のはやりである。

はたして私たちはこの機会に原点に戻って「貴い水を守る術」について思いを巡らせるべきではある

まいか。

水がぜいたくな品であることは、海外の水道事情から明らかだ。世界には多くの国があり日本が国家

承認をしているだけでも一九四カ国になるが、このうち水道水が飲める国は日本も含め一三カ国しかな

い。水は無限のものではなく限りある地球の資源といえる。

貴い水を守る為の第一歩は、名立川の水をきれいにすること。川を汚す原因は私たちにあるのだから。

河川の汚濁は家庭からの廃水が大半を占めている。よって、油汚れは紙で拭いてから洗ったり、洗剤の

使いすぎに注意するなど、小さなことでも実践することで川は生まれ変わると思う。私もその一員に加

わり河川の本来の輝きを取り戻したいと思う。

また、町内のクリーン活動にも積極的に参加し、河川のゴミ拾いに取り組みたい。住民が一丸となり

守った名立川の尊い水が、名立まつりを盛り上げてくれるよう祈っている。

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