【ざぶん文化賞】マンタと泳いだ夏
ぼくの頭の上に、真夏の太陽がある。 きらきらしてまぶしい。
目の前は、サンゴ礁。
ぼくは、おもわず船から飛びこんだ。
エメラルドグリーンやコバルトブルーの海の中を、カラフルな魚たちと泳いだ。
沖縄の海は、かわらずに竜宮城だった。
小学生のうちに、沖縄の島々を全部泳いでみたいから。
そして今ぼくは、石垣島にいる。
今年の楽しみは、石垣マンタポイントでマンタと一緒に泳ぐこと。 マンタに会えるかな。
ぼくは今、東シナ海の上の船にいる。
いよいよマンタに会える。
むこうの水平線の上には、貨物船が走っていた。
目の前の海は、オーシャンブルー。
深い深い青い海だ。
ぼくは、こわくなってなかなか飛び込めなかった。
水深三十メートル以上はあるらしい。
でも、マンタに会える。
そう思って、ぼくは飛びこんだ。
すると、ぼくは東シナ海にポカンとうかんだ。
そして、すぐに魚になれた。
海の中をのぞくと、海の底から黒いかげがやってきた。
ゆーっくり、ゆーっくりと近づいてくる。
白い羽を広げて、やってきた。
「マンタだ」
大きな大きなマンタが、ひらりひらりと飛んできた。
まるで青い空を飛んでいるようだった。
ぼくは、「こっちだよ」とマスクの中でさけんだ。
するとマンタは、ぼくのまわりをぐるりぐーるりと飛びまわった。 コバンザメをつれて。
「マンタと同じ海に泳いでるんだ」と思うと、
ぼくはうれしくてうれしくて胸がいっぱいになった。
大きくて大きくて、ゆーっくりと泳ぐマンタは、海の王者だ。 ぼくは、海の中にいるような、
青い空を飛んでいるような気持ちになった。
「また、会いたい」
ぼくが、帰りの船から、水平線を見ていると、ひょいと海がめが顔をだした。
ぼくは、うみがめにあいさつをした。
「またくるからね」
もう、マンタには約束をしてきたから。
ぼくはジンとした。
真夏の太陽は、水平線の上にいた。
まぶしくて、きらきらして、空も海も、ぼくの気持ちも光っていた。


