2017年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  宇佐美 朱理

【特別賞】砂漠ですごした三日間

目が覚めると、そこは砂漠だった。僕の通う小学校や僕の家は消えていて、あるのは巨人のように大

きな岩と水晶のようにキレイな石、どこまでも続く雲一つないピンク色の空、そして砂だけだった。

行く当てもなくさまよって、僕は一つのことに気がついた。それはここに、僕以外は誰もいないとい

うことだ。さらにいうと、食べものも飲みものもなかった。漠然とした不安に襲われ、何だか涙が溢れ

た。地面におちた滴が「シュウゥ」と音をたてて水蒸気になって消えた。のどがカラカラだし、おなかも

ペコペコだった。「なんで僕はこんな目に」家に帰ってクーラーのきいた部屋で大好きなリンゴジュース

が飲みたくなった。カルキ臭のする水道の水はいつもは絶対飲まないけれど、今ならガブガブ飲める気

がした。

二日目、体がだるくて動かせない。なんどか必死に動かして起きあがると、頭がガンガンして、少し

息が苦しかった。高熱が出たようだ。砂のついた肌はまっ黒でナッツののったビターチョコレートのよ

うだった。目の前がフワフワ、チカチカとしてなんとなく自分をかじった。よく焼けた、砂の味がした。

しばらく歩いてふらつき、たおれるようにして岩の前に座りこんだ。おなかがすいた、どっしりと体

が重い、息が苦しい、だけど何よりのどが渇いていた。周囲の景色は変わらず、大きな岩と水晶のよう

な石とピンクの空、そして砂だった。

三日目、石の中にフィンがいた。僕はあわててかけよりフィンに話しかけた。一番はじめに出た言葉

「水をくれない?」

だった。でも声を出すことができず口をパクパクすることだけしかできなかった。だがフィンには伝

わったようでカラカラ笑いながら

「水なんてないよ」

と言った。僕はムッとなった。なんでないのさ。 「さあね、知らないよ」

……。

「……」

なんで僕以外誰もいないの?

「水がないからね」

じゃあなんで僕はこんなところにいるんだよ!フィンはにやにやと水晶越しに笑った。

「そりゃあ、君。水なんていらないだろ?」

ちがう!僕はたしかに水をあまり飲まなかった。味のない水がきらいであまいジュースばかり飲ん

でいた。でもちがうんだ、今は。くじらのフィンがカラカラ笑った。世界がぐるぐる回って「パンッ」と割れた。フィンは砂になって消えた。僕も砂になって消えた。

そして目が覚めた。僕は中学生になっていた。夏休みが明けて、少し暑さが残る学校で、男子はふざ

けて水をかけあい、女子は水を流しっぱなしにして身だしなみを整えていた。

僕はなんだかのどが乾いて蛇口をひねって水を飲んだ。そういえば昔、水をあまり飲まなかったな。

冷えた水がのどをとおり僕はほっと一息ついた。

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