2017年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  関本 修平

【特別賞】ヤゴの楽園

僕の祖母の家は北海道にあり、夏休みや冬休みには祖母の家に、親戚やいとこがみんな集まる。普段

は本州に住む僕やいとこにとって、北海道の祖母の家に行くのは特別なイベントで、僕は、とても楽し

みにしている。

祖母の家から二キロメートルぐらいのところに川遊びができる公園がある。僕やいとこは、毎年その

川に遊びに行くことにしている。その川はせいぜい五メートルくらいの幅で、大きな石がごつごつして

いるところがあったり、小石が敷き詰められたようになっているところがあったりする。川の水はとて

も冷たくて、裸足になって川に入ると、あまりの冷たさで震えるほどだ。母の話では、雪解け水が入る

春には川に入れないほど冷たいのだという。川にはたまに魚が泳いでいることもあるし、川の周りには

オニヤンマやギンヤンマがたくさん飛んでいて、川の石をひっくり返すとたまにヤゴが見つかることも

ある。

いとこが、石をひっくり返して、僕を呼んだ。 「こっち来て、見てみて。なんか虫がいるよ!」

いとこはまだ小さくて、虫を捕まえるのは苦手だ。だから僕を呼ぶのだが、僕もあまり虫は得意なほ

うじゃない。でも、虫をつまんで、虫かごに入れてあげると、とても喜んだ。

母の話では、この川の上流はもっとヤゴがいて、母が子供の時にはよく採りに行っていたらしい。た

だ、川の上流はうっそうとした森林になっていて、たまにヒグマも出没するような場所だという。僕は

ヒグマと聞いて怖くなったが、いとこにたくさんのヤゴを見せるために、行ってみようと思った。母に

案内役になってもらい、いとこを連れて歩いて行ってみることにした。ところが、歩いて五分としない

うちに、上流への道は細く、暗くなってきた。いとこは急に怖くなってきたらしく、

「ヤゴはいいから、もう帰りたい」

という。仕方なく、僕たちは来た道を戻ることにした。確かにうっそうとした森は、昼間でも暗くて

怖かったが、その先にヤゴの楽園があることを想像したら、僕たちが荒らしてはいけないような気もし

て、戻るのも悪くない気がした。

この川の水は下流にある浄水場で水道水として供給されていて、祖母の家の水道の水もこの川の水だ

と聞いた。あのうっそうとした森林は水源保全林といって、水源を守るためのものらしい。祖母の家の

おいしい水はこの森林のおかげなのだろう。ヒグマは怖いけれど、森林を守る大事な警備員みたいなも

のかもしれない。これからもずっとこの水源を守っていけたらと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です