2017年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  菊地 市千

【特別賞】地上の天の川

夜の闇に、キラキラと輝く星一つ。それは瞬く間に二つ、三つと増えていった。

私の家の近くには山形の川の一つ瀧山川が流れています。私は小学校の頃夏休みになると毎日のよう

に瀧山川で遊んでいました。私の大好きなこの川に、夜になると星がやってきます。その星はやわらか

な光を発し、川の上を優雅に漂っていました。そう、その星の正体とは蛍です。ある夜、窓を開けてみ

ると沢山の蛍が集まっていました。そして、蛍たちがゆらゆらと空中を泳いでいる様は、まるで天の川

のようで、私はただただ窓のへりで圧倒されるばかりでした。普段は、こんなに蛍は集まりません。し

かし、こうなった理由には心当たりがありました。その年の春に川を綺麗にして下さっている団体が川

のゴミなどを掃除してくれていたのです。蛍は綺麗な水を好みます。この行いのおかげで、その年は沢

山の蛍が集まったのだと思いました。私も自分ができることを行い、蛍がつくりだす天の川を守ってい

きたいという気持ちになりました。しかし、その次の年の夏、蛍の姿は一匹も見ることはなかったので

す。実は長雨が続き川の水が増水し、上流から石やゴミなどが流れてきてしまったのです。初めは蛍は

そのうち姿を見せてくれる、そう軽く思っていましたがとうとう蛍が姿を見せてくれることはありませ

んでした。私はこの現状をよく考えてみました。長雨は自然現象なので仕方がありませんが、ゴミにつ

いては誰かが川の近くにゴミを捨てたという事実があったのだと思います。長雨が降る前、父と川の近

くを散歩していると川でバーベキューなどをしたのか周りには沢山の空き缶、炭の残骸、網やトングな

どのゴミが散乱していました。父と私はそのゴミを近くにあったダンボールに散らかした人達が片付け

に来てくれることを願い、まとめて入れて置きました。翌日、そのゴミは片付けられていましたが、な

ぜ翌日になってから行動するのでしょう。私は散らかしていった人達に、蛍たちが彩る夏の日の美しい

夜を見て欲しいと強く感じました。そうすれば自分達のしていることに気づき、正しい行動をしてくれ

るはずです。川を守ることは蛍を守ることにも繋がります。私達は美しい水が流れる自然と共に生活し

ているということを再認識していかなければならないと思います。そして、一人一人が考え行動してい

くことが一番重要なのです。

今年、私が瀧山川の近くを散歩していると、ある看板が立ててありました。そこには、

「私達は瀧山川が大好きです」

と書かれていました。この瀧山川を守って下さっている方々が考え、行動してくれたおかげで水が綺

麗になりました。

そして、私が窓を開けてみるとそこには、一つの星が川の上をゆらゆらと楽し気に泳いでいました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です