【ざぶん環境賞】お母さんと竹田川
お母さんと車で出かけた時、いつもとはちがう道を通りました。赤信号になって止ってい
る時、まどから小さな橋が見えました。
「この橋、なつかしいわあ」
とお母さんが言いました。ぼくはだまって聞いていると、 「小さい時、ここにホタルを取りに来たの」
と言いました。ホタルと聞いてぼくはドキッとしました。
道が広くなったところに車をとめて橋を見に行くことにしました。橋の下には小さくて細
い川が流れていました。川の周りは、ぼくのせの高さくらいの草がはえていて、川までは行
けそうにありません。
「むかしは歩けるようになっていたのに」
と言ってお母さんは子どものころの話を聞かせてくれました。
お母さんが保育園くらいのころ、いつも帰るのがおそいおじいちゃんがその日は早く帰っ
てきて、ばんごはんを食べたら出かけようと言ったそうです。どこに行くかわからなかった
けど、お母さんとお母さんのお姉さんに虫かごと虫取りあみを持つようにと言って、暗く
なったころ車で出かけたそうです。
住んでいた家から二十分くらい行ったところで車から降りるように言われたけど、外は
真っ暗だったのでこわかったと言っていました。かい中電とうを持ったおじいちゃんのせ中
をおって行くと、草の間から黄色の光がチラッチラッと見えはじめ、その先の橋の周りは一
面、黄色く光る点てんだらけだったそうです。
「ホタルの光が川の流れにそって光っていて、まるで天の川のように見えたの」
とお母さんはニコニコ話してくれました。
おじいちゃんはこの橋を見つけ、お母さん達にどうしても見せたかったそうです。持って
いった虫取りあみのあなが大きくてホタルがあみからにげてしまったと笑っていました。
「この川は竹田川の下流なのよ」 と川を見ながらお母さんは言いました。
ぼくは去年、竹田川へ川遊びに行ったことを思い出しました。竹田川にはサンショウウオ
やカニがいて、キャンプや川遊びをして、みんな楽しんでいました。この細い川が川遊びを
した川と同じには見えませんでした。
「竹田川の上流は夏、ホタルが見られますと言ってた人がいたけど、この細くなった川でも
むかしはちゃんとホタルがいたのよ」 とお母さんは言いました。
お母さんの思い出の川は細く小さな竹田川だけど、あのサンショウウオやカニがいる竹田
川と同じなら、もしぼくがホタルだったらきっとこの川に住みたいと思います。お母さんは
「思い出してよかった」
と言っていました。お母さんの大切な思い出と同じような竹田川とホタルのすてきな思い
出がぼくにもできるといいなと思いました。


