【ざぶん文化賞】ピアノ音楽の中の「水」
ピアノ曲の中には「水」がテーマとなったり、水に関わる詩をもとにしている曲がたくさんあ
る。ちょっと思い浮かべただけでも、リスト作曲の「エステ荘の噴水」、ドビュッシー作曲の「水
の反映」「雨の庭」、ラヴェル作曲の「水の戯れ」や「オンディーヌ」、ショパン作曲の「雨だれ
のプレリュード」や「舟歌」、曲名には表れないが「バラード第三番」、カスキ作曲の「激流」
など。あげたらきりがないほどである。どの曲も作曲家が水の変幻自在な様子を音で表現してい
る。光に輝く水、激しいうねりや波の表現、雨の様子など、作曲家にとって、水は魅力的な題材
なのだと思う。
ピアノという楽器は、誰が鍵盤を押しても音が鳴ってくれる。猫が鍵盤を歩いたとしても音が
なる。弦楽器や管楽器に比べると、ただ音を出すだけなら比較的容易に音はでる。ただし、演奏
者により音色は全く違うものとなり、同じ演奏者でも作品によって音色を変えることはもちろ
ん、たった一小節の中で何種類もの音色で表現しなければならないこともある。
水は、一瞬たりとも同じ姿をしていない。風のない鏡のような湖の水でさえ、月の光や日の光
で色が変わる。だから作曲家にとって水は魅力的なテーマなのだと思う。ピアノの音色で、ある
時は光に輝く水をきらめいた音色で表現したり、激しい波や、ときには濁流にもなる水を、激し
さや厚みのある音で表したりする。
また、ショパン作曲の「舟歌」などは、波の揺れが、心の揺れと一体となるような表現だった
りするので、作曲された背景などからそのときの作曲家の心情なども想像しながら音楽を聴く
と、自分の心も動くことがある。
私はピアノを習い始めて八年目となる。現在は様々な作品から多くのことを学んでいる。何百
年前に作曲された曲は、今でも決して色あせず、私自身毎日新しい発見があり、練習を重ねる
ことで、作曲家が作品に込めた思いに少しでも近づけることができるように頑張っている。いく
ら頑張ってもこれで完璧、ということは決してありえない音楽の世界だが、生涯勉強を続けてい
きたいと考えている。
作曲家のイメージする「水」と私自身が感じて表現した「水」が、演奏を通していつの日にか
聴いてくださる人の心に残ることができるように、日々の努力を続けていきたいと思う。
作曲家の思い描いた「水」の表現ができる日を夢見て。


