2016年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  miiya

【ざぶん文化賞】ばぁちゃんの宝物

五年生の春。窓からの光がまぶしい、四月の朝。とても、とても悲しい知らせがあった。

「ばぁちゃんが、亡くなった」

父さんは、すぐ部屋を出て行った。くやしくて、悲しくて、号泣する私を、母さんは優し

くなでた。もう、五年間も行っていなかったばぁちゃんの家に、告別式のために行くことに

なった。

告別式の後、ばぁちゃんは灰へと変わった。最後に見たばぁちゃんの顔は、何か、安心し

たような、やさしい顔だった。

三日後、いとこと一緒に墓から帰って来た時。玄関で、貝がらがたくさん入ったガラスの

入れ物を見つけた。どれも、きれいなものばかりだ。 「これ、何?誰の?」

私がきくと、父さんは、

「ばぁちゃんのだ」

と言った。病気になる前、ばぁちゃんは海で見つけた、きれいな貝がらを拾っては、ガラ

スの入れ物に入れていたんだそうだ。

その後、私は、車に乗って家族と一緒に、海に行った。車から降りたら、白い砂浜と、青
い、すき通った美しい海が見えた。海に近づけば近づくほど、その美しい青に見とれてしま

う。 「痛いっ」

ぼ〜っと歩いていると、何かふんでしまった。貝がらだった。よく見ると、この砂浜には、

貝がらやさんごの死がいがゴロゴロと転がっていた。貝がらもさんごも、白い砂浜にとけこ

むように、白やうすいクリーム色などで、遠くから見たら、何もないように見える。海水を

すくうと、サラサラと手から流れていった。ここちよくて、何度もそうしていると、一緒に

貝がらもすくった。でも…、ばぁちゃんの貝がらのきれいさにはかなわない。

ばぁちゃんの家に帰ると、私は、

「これ…一つ、持って帰っていい?」

と父さんに言った。父さんは、

「いいんじゃない。置いといても、もったいないだろう」

とこたえた。私は、小さな貝がらを一つもち帰ることにした。その貝がらは、海の、良い

香りがした。

飛行機から見えた海。どこまでも青かった。優しい青だった。光る太陽に反射して、白い

光を放っている。明るい、優しい、ばぁちゃんみたいだった。

ばぁちゃんは、家族が、島が、海が大好きだった。あのガラスの入れ物には、海と、島と、

家族との、ばぁちゃんの思い出が、たくさん、たくさんつまってるんだ。

今も、私の部屋に、その貝がらはある。光に当たると輝きを放つ貝がらは、まるで、あの

美しい海のようだ。ばぁちゃんの大事な貝がらを見ていると、温かい海やばぁちゃんとの思

い出、顔と、匂いと…たくさんのことをよみがえらせてくれる。これからも大事にするから

ね。ばぁちゃんの宝物。

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