2018年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  むらかみ ともこ

【特別賞】井戸水と水道水

僕の家の、キッチンには、蛇口が二つある。一つは、すりかみ川浄水場から来ている水道水が出る。もう一つは、家の前にある井戸から汲み上げている、井戸水が出る。今、僕の家で主に使っているのは、井戸水だ。飲料水だけでなく、風呂や洗濯なども井戸水を使っている。二十年ぐらい前に、父が昔ながらの井戸水から水道水に切り替えようとしたが、祖父が反対して、昔ながらの井戸水を使うように新築した。そのおかげで、水道代がとてもお得で、東日本大震災の時も、水道水は止まってしまったが、井戸水は使えたので助かった。また、僕は、水道水よりも井戸水の方がおいしいと感じている。井戸水の方が冷たいし、余計な味がほとんどしないからだ。

しかし、この夏、祖父が電気温水器を買い代える際に、水道工事もして、主に水道水を使うように切り替えると決めた。僕は、反対だった。水道水は、水道代が高いし、もしもの時、地震などで止まりやすい。井戸水とは、違い余計な味がする。しかし、祖父が言うには、井戸水はいつ枯れるか分からないし、僕の家の周りは、放射能が高く、近くのモニタリングポストは〇・三マイクロシーベルト毎時ぐらいを示しているので、将来的にも水道水の方が安心との事だった。僕は、少し納得したが、やはり疑問が残った。せっかくの自然の恵みを、享受できる環境にあるのに、活用しないのは、宝の持ち腐れだと思うし、井戸水が近い将来、枯れるという、絶対的な根拠はない。放射線に関しては、インターネットで調べたところ、放射線が井戸水に影響する事は、ほとんど無いと分かった。

しかし、もう決まってしまった。祖父は、水道水よりも、井戸水が好きだと思っていた。そんな祖父に、聞いてみると、

「そう言われてみるとなぁ。まぁ、心境だ。心境の変化だ」

と、笑いながら言っていた。確かに、時代の流れは、そうなのかもしれない。近所の家でも、新築の時に、井戸水から水道水に、変える家が多いという。そして、使わなくなった井戸はすぐに枯れて、使えなくなったそうだ。

僕は、今まで当たり前のように使っていた水について考える事が出来た。井戸水は、自然が豊かでないと得る事が出来ない、自然の恵みだった事。井戸水に放射線が影響する事はほとんど無いが、放射線の風評は、祖父の心境を変化させた。

僕は、これからは、自然豊かな土地だからこその恵みの井戸水を大切にして、家族に呼びかけて井戸水を大切にしてもらう。そして節水に気を付けて、限りある資源を守っていきたい。そして、僕が年老いても、きれいな水が当たり前のようにどこでも使えるようになってほしい。

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