2019年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  寺坂 ひとみ

【特別賞】最後の田植え

「うわっ」

そう言いながら田んぼに足を入れる。

私の通っている小学校では、毎年六月に田植えが行われている。

私にとって今年の田植えは、小学校生活で最後になる。私は毎年(田植えか、いやだな)と、思うと同時に、少しワクワクしている。

田植えの前の給食時間に、校長先生の放送があった。校長先生は、

「田んぼの土は汚いと思うかもしれません。ですが、田んぼの土にはお米が育つ栄養がたくさん入っています」

と、言っていた。

去年、五年生の時、苗を育てた。みんなで、交代で水をあげていた。しかし、ある友達が一度だけ水やりを忘れてしまった。すると、一部の苗がかれてしまったのだ。この時、私は改めて、水の大切さを知った。

今年も、田植えが始まった。今年は、一年生といっしょに田植えをした。一年生といっしょに一列に並んで田んぼに入る。

入る時に、

「うわっ」

と言う。

しかし、すぐに(あ、この感じ、この感じ)と思う。土はぬるぬるして、ひんやりしている。どろ臭いこのにおいも、一年ぶりだ。足がはまって動きにくい。でも、みんな、なんだかんだ言って楽しそうだ。

田んぼには、タニシやカエルがたくさんいた。

全員田んぼに入ったら、六年生が一年生にお手本を見せる。苗の束を持ち、そこから二~三本取って植えていく。保護者の方が引っ張っている紐についている、赤い玉の場所に植える。植えたら一歩下がるを繰り返す。

一年生も、

「これでいいと?」

と聞きながら、植えている。

「ほら、そこにも植えやんよ。そこそこ」

最後には、一年生も上手になった。植える前には一面茶色だった田んぼには、鮮やかな緑色の苗が、きれいに並んでいる。それを見ると、(やりきった!)という気持ちになる。田植えが終わり、田んぼから上がる。

学校に戻って、プールのシャワーをあびた。土を落としてスッキリすると、お待ちかねの時間だ。みんなですいかを食べる。田植えの後のすいかは格別だ。

今は、ほとんどの田植えが機械で行われている。そんななかで、手で苗を植えるのは、特別なことだと思う。

秋には稲かりをして、冬にはそのお米でもちをつく。とても楽しみだ。この貴重な体験を忘れないようにしたい。

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