2019年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  CHANNEL2.3

【ざぶん文化賞】おねしょ

朝、起きると、ぼくは、おねょをしていた。またやってしまった。三年生にもなっておねしょをする自分がなさけない。今度林間学校もあるのにこんなのじゃだめだ。と考えこむ。そこで一つの考えにたどりついた。

そうだ、水断ちしよう。

お母さんはひどくおどろいたようだった。

「なぜ?」

と、お母さんは聞いてきた。でもぼくは何も言わなかった。きっと鼻で笑われるだろうから。

学校に行ってもなぜ水断ちするのか聞かれた。給食の大好きな牛乳にも手を出さなかった。いつも牛乳をおかわりするのになぜ、とヒソヒソ声が聞こえた。でもぼくは何も言わなかった。きっとバカにされるだろうから。

家に帰っても一口も水を飲まなかった。お父さんとお母さんがぼくのことを話している。のどが痛くなってきたけど、ぼくは水を飲まなかった。お父さんに、

「水を飲みなさい。意地でもはっているのか?」

と言われた。でもぼくは絶対に飲まないの一点張りだったため、

「もう、好きにしろ」

と言って、どこかへ行ってしまった。ぼくは、「フン!!」

と鼻をならし、そのまま眠りについた。

そんなことをしていると、水断ちをして三日後、ぼくはたおれた。

目がさめると、ぼくは病室にいた。となりにはお父さんとお母さんと医者がいた。お父さんとお母さんは泣きながらぼくにだきついてきた。ほんとうに心配してくれていたんだなあと考えていると、医者が、

「すいませんが、少し話したいことがあるので、ご退室おねがいします」

と、病室からお父さんお母さんを出した。そして、ぼくの正面に座った。すると、医者が、「なんで水を飲まなかったの?」

と、聞いてきた。少し沈黙があった後、

「話さないならいいや」

と言った。よくぞ分かってくれたと、ぼくは笑ったが、医者が、

「きみが何で飲まないかはいいけど、飲まないとどうなるか。人の体の水は七割だと言うだろう?飲まないだけで頭痛、目まいや、体の中の機能がおかしくなって、脱水症状になって死んじゃう。それでもいいのかい?」

と言ってきた。ぼくは何も言えなかった。それと同時に水をたくさん飲んで、死なないようにしよう。と心に決めたのだ。

退院後、ぼくは水をたくさん飲んだ。夜ものみ、

「おねしょなんてしても、生きるためだったらいいや。どんとこい」

と、さけんだ。おねしょしてもしかたないと眠りについた。

朝起きると、なんとおねしょをしていなかった。おねしょをしてもいいという考えを持ったその日から、おねしょを克服してしまったのだ。「ぼく」はうれしい気持ちとあっけないような感じがまざり、複雑な気持ちになったまま、林間学校へ行くこととなってしまったのだ。

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