【ざぶん文化賞】おねしょ
朝、起きると、ぼくは、おねょをしていた。またやってしまった。三年生にもなっておねしょをする自分がなさけない。今度林間学校もあるのにこんなのじゃだめだ。と考えこむ。そこで一つの考えにたどりついた。
そうだ、水断ちしよう。
お母さんはひどくおどろいたようだった。
「なぜ?」
と、お母さんは聞いてきた。でもぼくは何も言わなかった。きっと鼻で笑われるだろうから。
学校に行ってもなぜ水断ちするのか聞かれた。給食の大好きな牛乳にも手を出さなかった。いつも牛乳をおかわりするのになぜ、とヒソヒソ声が聞こえた。でもぼくは何も言わなかった。きっとバカにされるだろうから。
家に帰っても一口も水を飲まなかった。お父さんとお母さんがぼくのことを話している。のどが痛くなってきたけど、ぼくは水を飲まなかった。お父さんに、
「水を飲みなさい。意地でもはっているのか?」
と言われた。でもぼくは絶対に飲まないの一点張りだったため、
「もう、好きにしろ」
と言って、どこかへ行ってしまった。ぼくは、「フン!!」
と鼻をならし、そのまま眠りについた。
そんなことをしていると、水断ちをして三日後、ぼくはたおれた。
目がさめると、ぼくは病室にいた。となりにはお父さんとお母さんと医者がいた。お父さんとお母さんは泣きながらぼくにだきついてきた。ほんとうに心配してくれていたんだなあと考えていると、医者が、
「すいませんが、少し話したいことがあるので、ご退室おねがいします」
と、病室からお父さんお母さんを出した。そして、ぼくの正面に座った。すると、医者が、「なんで水を飲まなかったの?」
と、聞いてきた。少し沈黙があった後、
「話さないならいいや」
と言った。よくぞ分かってくれたと、ぼくは笑ったが、医者が、
「きみが何で飲まないかはいいけど、飲まないとどうなるか。人の体の水は七割だと言うだろう?飲まないだけで頭痛、目まいや、体の中の機能がおかしくなって、脱水症状になって死んじゃう。それでもいいのかい?」
と言ってきた。ぼくは何も言えなかった。それと同時に水をたくさん飲んで、死なないようにしよう。と心に決めたのだ。
退院後、ぼくは水をたくさん飲んだ。夜ものみ、
「おねしょなんてしても、生きるためだったらいいや。どんとこい」
と、さけんだ。おねしょしてもしかたないと眠りについた。
朝起きると、なんとおねしょをしていなかった。おねしょをしてもいいという考えを持ったその日から、おねしょを克服してしまったのだ。「ぼく」はうれしい気持ちとあっけないような感じがまざり、複雑な気持ちになったまま、林間学校へ行くこととなってしまったのだ。


