2019年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  谷村 優花

【ざぶん環境賞】おたきの水

「あらー、もう、お水ないんやわ」

ひいおばあちゃんが言いました。

「おたきの水くみに行ってこなあかん。こすもも行ってみるか」

おじいちゃんが言いました。

ぼくは、

「行きたい」

と、すぐにこたえました。

おたきの水。おじいちゃんちには、そうよばれている水があります。さらさらすっきりしていてすごくおいしい。おじいちゃんが山からくんできてくれる水で、ぼくの大好きな水。それが、おたきの水です。水道からも水は出るけど、みんなのむのはおたきの水。お米もふっくらおいしくたけるし、こおらせてけずるかき氷はさいこうです。

ぼくは初めて、おたきの水をくみにつれていってもらいました。そこは、山のしゃ面に岩があって、その間からチョロチョロと水が流れ出ている所でした。

「なんでおたきの水っていうの」

と、ぼくが聞くと、

「昔はここにたきがあったんや。あらしま岳の地下水が、わき水として流れでてきとるんやけど、村のみんなの大切な水やったで、おたきの水ってよばれたんや。昔は、このおたきの水で、村の全部の田んぼのお米を育てて、おたきで水車を回してとれたお米を精米してたんやぞ」

と、おじいちゃんが教えてくれました。

しぜんの水がのみ水になったり、食べるものをつくってくれたりして、みんなを生かしてくれていたんだな。水がみんなの命になっていたんだ。ぼくの命は、ひいおばあちゃん、おじいちゃん、お母さんから、おたきの水でつながってきてたんだなぁと気づきました。

ぼくは、岩のすきまにペットボトルの口をあてて水をくみました。どんどん重くなって、落としてしまいそうでした。みんなのよろこんでくれる顔をそうぞうして、全部で三本、まんぱいまで入れました。

今は、水道から水が出るのが当たり前だけど、昔は毎日、水をくみに来てたのかな。暑い日や寒い日、重くて大へんだっただろうな。だからこそ、わき出てくれている水に感謝して、大切に使っていたんだろうな。

ぼくは、水のだしっぱなしでよく注意されるから、すぐとめるようにしよう。水を心から大切にするだい一歩だ。

おじいちゃんちにもどって、くんできたばかりの水をみんなのコップにそそぎました。

「かんぱーい」

ぼくは、弟とコップをカッチンとならしました。

「あー、うまい」

弟と一緒に言ったので、顔を見合わせて笑いました。それを見て、となりでひいおばあちゃんもわらっていました。

「ありがとう。いただきます」

ぼくは、いつもよりさらにおいしくかんじるお水にそっとつぶやきました。

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