【水産庁長官賞】私達の里海
「フゥー、フゥー、ハフッハフッ、チュルッ、うんまっ」
寒い冬がおとずれると、私の住む町、日生町は沢山の観光客で活気づく。みんなのお目当ては、日生町自慢のプリップリの牡蠣だ。私も大好きだ。私は、殻付きのまま、蒸して食べるのが一番好きだ。殻をギコギコこじあけて、レモンをキュッとしぼって、あつあつをぱくり考えただけでジュルッとよだれが出そうだ。冬がまち遠しい。そして、このおいしい牡蠣をもたらしてくれるのが、私達日生の里海だ。みなさんは、「里海」という言葉を知っているだろうか。「里海」とは、人間が手を加えることで、環境が整い、生態系が循環している豊かな海のことである。
つまり、私達の日生の海は、日生の人々が守り、育てている海だということだ。この里海活動は、なんと三十五年以上前から続いている。海が汚れ、魚がとれなくなってきた日生の海の漁師さん達は、どうしたら豊かな海が戻ってくるのか、みんなで知恵を出し合った。そして、海が汚れると共に消えてしまった、アマモ場を復活させようと活動し始めた。アマモは海草の一種で、水質を浄化する性質がある。そして、アマモ場は魚の住みかとなり、産卵場となる。海の生物の命のゆりかごとなるのだ。漁師さん達はアマモの種を回収し、育て、また海へまき、アマモを増やした。すると、だんだんと日生の海にも、魚が戻ってきたのだ。すごいと思う。実は、この活動に、私達日生中学校の生徒も参加しているのだ。漁師さん達に、どうやってアマモ場を再生してきたか、聞き書きをさせてもらうこともある。漁師さんは、すごく熱く語ってくれる。聞いている私達も真剣だ。聞いた話は、一人一人が新聞記事にして文化祭で町の人達に見てもらう。漁師さんの熱い思いを町の人達に伝えるのは、私達の文章力が試されるところだ。どうか伝われ。
そして、漁師さんと一緒に船で海に出て、アマモの種をとったり、流れ藻を回収したりする。アマモの種の回収は、ヌメヌメした泥を手で洗い落とさないといけないから、軍手も手も泥んこになる。時々カニなどが出てきてびっくりする。でも、種が沢山出てくると、嬉しくて、テンションもあがってくる。
そしてまた、海へと種をまくようにして戻す。気分は海版花さかじいさんだ。アマモは花じゃないけど、日生の海にアマモを咲かせましょう私のまいた種も、立派なアマモになって、魚達の住みかになったらいいな。
私達の「里海」日生の海。漁師さんと、私達若い子供達と、町の人々が守り、育てている海。自慢の海だよ。おいしい海の幸が沢山とれるよ。夏はエビがおすすめ。ママカリもおいしいよ。冬はやっぱり牡蠣。
「でぇれぇおいしいけぇ、日生に食べにこられぇ」

