【準ざぶん大賞】田んぼはみんなのもの
今年の休校期間中、ぼくは、以前から計画していたことに挑戦することができた。それは「自分で田んぼを作り、オタマジャクシの成長を観察すること」だ。木の板やボンド、ホースなどを使って作った、たて百八十センチ、横九十センチの小さな手作りの田んぼだ。
この田んぼに土を入れ、苗を植え、水を入れてから十日後、不思議なことが起こった。なんと、そこには生き物たちが集まり始めたのだ。光と風、土と苗、そして水しかないその場所で。まず、植えてないはずのミズアオイが生え、小さな生き物が泳ぎまわっていた。数日後には、マツモムシやアメンボがどこからか飛んできて、土のミノに隠れたカゲロウの幼虫も大発生していた。こんなにも多くの生き物たちが集まって来るのにはおどろいた。
五月の中旬、ぼくの家の周りではアマガエルの大合唱が始まった。やがて、ぼくの田んぼでもアマガエルが卵を産んでくれた。卵の中では一日ごとにオタマジャクシが成長していく姿をこの目で見ることができた。小さな卵の中で成長していく姿は、感動的だった。
家の周りの田んぼでも、オタマジャクシが日に日に大きくなるのでその成長が楽しみだった。ところがある日、弟があわてて、
「家の周りの田んぼが中干しされている。オタマジャクシたちが死にそうだよ。」
と叫んだ。田んぼの水をぬいてかわかす、中干しの時期になったのだ。ぼくはすぐに、苦しんでいるオタマジャクシたちを、ぼくの田んぼへと移した。ぼくの田んぼに入れると、少しつ元気を取り戻すオタマジャクシもいたが、もう動けないオタマジャクシもいた。
『中干しなんてしなくてもいいのだ。』
ぼくの小学校の山崎先生の家の田んぼには、トノサマガエルやツチガエル、ニホンアマガエル、ヒキガエルの仲間など、いろんなカエルがすんでいる。ぼくは去年、その田んぼを見せてもらい、多くの生き物とふれ合うことができた。忘れられない楽しい時間だった。
「これが、当たり前の風景だったらいいのにな。」と思いながら。ぼくは山崎先生に、
「どうしてこんなに生き物がいるのですか。」
とたずねた。すると先生は、
「中干ししないでお米を作っているのだよ。」
と力強く答えてくれた。中干ししてなくてもお米はいつもおいしいそうだ。
中干ししなくても、人間が食べられるお米になる。それなら、田んぼはお米を作るだけの場所ではなく、生き物たちも住める場所にすればいいと思う。
ぼくは、今日もぼくの小さな田んぼに早朝から水を入れた。ミズアオイの青い花もさき終わり、ぼくが植えた稲にも小さな穂がついてきた。「やっぱり、中干ししなくてもお米はできるのだ。」ぼくの田んぼのオタマジャクシはカエルになり、カゲロウは成虫になって飛んで行った。自然の中の生き物たちと、人間は一緒に生きていける。そんな社会をぼくは作っていきたい。


